フランスの大田舎から生還し、1週間ぶりに踏むアスファルトが新鮮です。
さて、各家庭には多かれ少なかれ「我が家の当たり前」があります。夫婦それぞれの実家も然りで、帰省時には自分にとっての「普通」が普遍的な常識でないことを痛感させられます。
メガロポリス東京で生まれ育った私にとって、主人の故郷フレンチ・カントリーは未知の世界。いまだ里帰りのたびに不思議なことや驚くことがいっぱいで、子どもにとっては注意しないと危ないこともたくさんあります。
最近は旅行先としても人気が出ていると耳にしたので、フランスの田舎で注意したいこと5点を日本人目線でシェアしたいと思います。
羊突猛進
義実家では羊を庭の一画で放牧しているのですが(私にはそれ自体が未知の世界)、その羊が人畜無害なイメージとは裏腹に実は凶暴ということを知りました。
ジッとこちらを見つめていたかと思いきや、突如ものすごい勢いで人間に突進してくることがあります。
小さな子どもが「ひつじさん、メーメー」なんて愛らしく近づいていっても、キスするように一眼レフを構えたりしてはいけません。すぐに引き止めて羊との間合いを十分にとりましょう。
何かの拍子に雄羊が猛り狂い、子どもに突進、踏みつけてくる可能性があるとのこと。とても危険です。
危険なイラクサ
シソの葉に似ているイラクサ。一見無害ですが、目に見えない細かいトゲがあり、触るとチクチク、ヒリヒリと火傷のような痛みがしばらく続きます。特に夏場は子どもの手や足が触れないように注意しないといけません。
初めて義実家に行ったとき、私はイラクサに触ってしまい一晩中ヒリヒリ痛い思いをしました。主人の家族にはそんなことも知らないのかと呆れられましたが、東京砂漠でそだった私が知る由もありません。
そんなイラクサは、幼児が遊ぶお家の庭、幼児が散歩する山道、幼児がピクニックする城の廃墟と、いたるところに生えています。
ママの対イラクサ防御力は帰省中にだいぶレベルアップしました。
電流の柵
義実家のご近所で飼っている家畜の柵は、かなり適当に張られたヒモ。
しかし、やる気のない見た目とは裏腹に、このヒモには微弱ながら電気が流されていて、家畜が逃げ出せないようになっています。
そんなこと、「動物と言えば動物園かファミリー牧場!」というメトロポリタンには思いもよりません。電流の柵と言えば、プロレスくらいしか想像できません。
家畜の柵には「さわるな、危険!」の看板もないので、無邪気に子どもが触ったりしたら一大事(高圧ではないものの、しっかりトラウマになります)。
のどかな田園に牙をむかれないよう、子どもが触りそうなものには十分注意する必要があります。
ノミ
猫や家畜のいるフランスの田舎家では、ノミが相当幅を利かせていることがしばしば。
ノミに噛まれると壮絶なアレルギー反応がでます。蚊とは比べ物にならない強いかゆみと腫れはもちろん、水ぶくれができることもあります。私は過去に噛まれた跡が1年以上残りました。
驚くことに、現地の人は噛まれても症状の軽い人がほとんど。ペストがヨーロッパで大流行した時に免疫力がついているのでしょうか。
とにかく自分の身は自分で守る必要があります。動物のいる田園地帯や田舎家を訪れるときは、防虫対策をしっかりとしていくことをおススメします。
朝のカビ・チーズ
朝の食卓でかぐわしい青カビ・チーズを食べるのは、義実家ではごく自然な日常の1コマ。
寝起きにパンチの効いたチーズ臭に包まれるのはかなりヘビー。まさにアウェーの洗礼です。繊細なお子さんは朝からリバースしてしまう危険もあるので注意が必要です。
とは言え、考えてみれば和食で朝からアジの開きや納豆をいただくのと同じようなもの。旅館が大好きな外国人も同じ思いをしているのかもしれません。
まとめ
以上、読み返してみると「危険で臭いフランスの田舎」という要約になってしまいそうですが、ゆったりした時間の流れや自然の豊かさなど、いいところもいっぱいあります。
里帰りにはストレスが付きものですが、異文化から学んで新しい知識を増やし、自らの糧としたいものです。