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『犬ヶ島( Isle of Dogs)』は日本への愛がつまった名作映画!

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映画『犬が島( Isle of Dogs)』のレビューです。

『犬が島』は、日本が舞台となったアメリカ映画です。

エライ人
いわゆる外国製「ニッポン」映画ですか……

とタカをくくってしまいそうですが、実は鑑賞価値の大いにある名作。日本への深い洞察と愛がぎっしりつまった作品で、いわゆる「国外産ニッポン映画」とは一線を画しています。

子供向けかと思わせるようなキュートな「お人形アニメ」ですが、実は大人の笑いに満ちた骨太の名作コメディです。

さあ、一緒に観ていきましょう!

 

基本データ

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  • 原題: 『 Isle of Dogs 』
  • 製作: 2018年、アメリカ、1時間41分
  • 監督: ウェス・アンダーソン
  • 出演: ブライアン・クランストン、コーユー・ランキン、エドワード・ノートンほか
  • 賞:ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)
  • 鑑賞年齢のレイティング:PG-13

PG-13となっているため、中学生未満の鑑賞はおすすめしません。

 

あらすじ

舞台は未来の日本、メガ崎市。

市長の小林は、ドッグ病の感染を恐れてすべての犬を「犬ヶ島」に隔離すると発表しました。犬ヶ島は、捨てられた犬とごみの島。犬たちは小さな群れをつくり、絶望と飢えと闘いながら毎日を生きています。

そんなある日、小さな飛行機に乗って、アタリという少年が5匹の犬の前に現れました。アタリは小林市長の養子。父の手で犬ヶ島に送られてしまった、スポッツという犬を探しに来たのでした。

アタリはスポッツを探すために、5匹の犬たちと旅に出かけます。しかし、犬ヶ島冒険の先には、大きくうずまく陰謀がアタリと犬たちを待ち受けていたのです……

 

見どころと解説

アニメという枠でくくると、思わず「子供向け?」と思ってしまいますが、大人向けの映画です。

そして、コメディではあるものの、大げさな演技で馬鹿笑いを誘う映画ではありません。

自然体なのに思わず笑みがこぼれるような、絶妙なバランスのユーモアが溢れています。

アートへのオマージュ

『犬ヶ島』の各所には、アートや映画自体へのオマージュがちりばめられています。

冒頭からびっくりするのは、三船敏郎を彷彿とさせる小林市長のポスター。まぎれもなく、ジョージ・オーウェルの小説『 1984 』のビッグ・ブラザーを暗示しています。

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監督の日本映画への愛も、いたるところに埋め込まれています。

ウェス・アンダーソン自身は、黒沢明宮崎駿に大きなインスピレーションを受けたと言っていますが*、分かりやすいのは黒沢監督へのオマージュ。『七人の侍』の音楽『菊千代のマンボ』に、思わずはっとさせられます。

ほかにも同監督の『酔いどれ天使』の曲が使われているなど、小林市長のポスターからも透けてくる三船敏郎への愛もぎっしりつまっています。

*Film Society of Lincoln Centerによるインタビュー動画「'Isle of Dogs' Q&A | Wes Anderson & Cast」より

ジョージ・オーウェルの『 1984年』と全体主義の恐ろしさ

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ステレオタイプを鮮やかに超える日本

一般的に、外国人の目で見た日本や日本的なものは、日本人にとって奇妙に映ることが少なくありません。

一方、映画の中では、「ステレオタイプの日本」の姿を敢えて交えながら、ときに逆手にとりながら、ユーモラスに描いています

  • 日本を愛している
  • 外国人の目で見ることからは逃れられない

という監督の真摯なまなざしを感じざるを得ません。

そのこだわりは、多用されている日本語にもあらわれています。

シナリオ制作は日本人(野村訓市)も担当しているので、日本語のセリフにもまったく違和感を覚えません。舞台となる「メガ崎市」に代表されるように、ことば遊びができるほどの高度な日本語レベルです。

声を担当する日本人キャストはさまざまですが、その機能も一枚岩ではありません。

オーセンティックな日本語でしゃべる渡辺教授役の伊藤晃や小林市長の野村訓市。一方、アタリ少年役のコーユー・ラスキンは、日英バイリンガルならではの、どこか英語なまりのある日本語をしゃべっています。

そして、もう一人日本人で触れたいのが、世界で一番有名な日本女性オノ・ヨーコ。科学者のアシスタント役で出演しています。役名は「オノ・ヨーコ」と、そのまま!日本人キャストが日本人女性役なのに、なぜか日本語はしゃべらずに英語だけの出演です。

 

超手作りが生み出す味のある世界

ウェス・アンダーソン監督の前作『ファンタスティックMr. FOX 』と同じく、『犬ヶ島』はストップモーション・アニメという手法で作られています。

映画に登場するシーンや人物(犬)はCG制作ではなく、アナログ。実際に触れることができるセットや人形が作られています。セットの数だけでも240を超えるというのですから、とにかくものすごい手間をかけて作られた映画であることが分かります。

そして、この途方もないハンドメイド作業が、味わい深い『犬ヶ島』独特の世界を実現しています。最近の映画の潮流である派手なCG映像とは対照的に、犬ヶ島の映像はとにかく深みがあります

下の映像からは、人形のメイキングを見ることができます。

 

マッチョだけど、やっぱりかわいい犬

アタリのおともをする5匹の犬は、苦境にもめげない犬の中の犬、アルファ・ドッグ

首輪につけられたままのネームタグと、それぞれの名前のコントラストがユーモラスです。

  • Chief(チーフ)
  • Rex(ラテン語の王さま)
  • King(王さま)
  • Duke(大公)
  • Boss(ボス)

ちなみに、Chiefの声を担当したのは、ブライアン・クランストン。TVシリーズ『ブレイキング・バッド』のウォルター役でおなじみです。犬でも、すさまじくダンディ

淡々と英語で会話するクールな面を見せつつも、思わず人間や子どもが大好きという反応をしてしまう、犬ならではの可愛さがいっぱいです。

 

まとめ

ちょっと考えさせる笑いのツボ、郷愁を誘うような味のある映像と音楽、ステレオタイプを逆手に取った日本への山盛りの愛……。

まちがいなく、監督ウェス・アンダーソンならではのワンダーランドが広がる名作です。

ぱんた
観てよかった!

と思えるだけでなく、何度も観たい!と思える、お気に入り映画になるはずです。

おしまい

 

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