ひと昔前に比べて、高級チョコレートはずいぶんと身近な存在になりました。
日本で買えるブランドのラインナップも増え、さらにバレンタインデーが近づけば一段とリュクス感や特別感のあるチョコを口にする機会に恵まれるようになりましたが、さて「チョコレートの正しい食べ方」なるものは存在するのでしょうか?
ベルギーに住んでいた頃に現地のチョコレート専門店で尋ねてみたところ、答えはイエス。チョコレートには「正しい」というよりも「王道」の食べ方があるとのこと。そして、本当においしい良質のチョコには一定の特徴がありました。
チョコレート・テイスティングのポイントを押さえつつカジュアルに楽しめるチョコレートの味わい方と、よいチョコレートを見極めるポイントについてご紹介したいと思います。これでちょっぴりチョコ通を気取れちゃいます。
五感を働かせながら、肩ひじ張らずに行ってみましょう!
チョコを味わう前に
せっかくなので、まずはチョコレート・テイスティングの環境をある程度整えてみましょう。これだけでも、チョコレートの味がより良く分かるようになります。
時間帯
本格的なテイスティングでは五感の活発な朝に味わうのが理想的ですが、はっきり言って朝はそれどころじゃないほど忙しい!
口の中で溶けるチョコの風味をゆっくりと味わいたいので、昼でも夜でもかまいません、ちょっとゆっくりできる時間を選びます。
場所
静かなお部屋で。
室温は23~24℃を超えないようにします。夏ならクーラーをつけましょう。特にミルクチョコやジャンドゥイャは高温に弱いので特に要注意です!
お口の中
チョコの風味がきちんと感じられるよう、コーヒー、カレー、キムチなど刺激の強いものを口にした後は、2時間ほど時間をあけます。
直前にアイスクリームやシャンパンを楽しんだり、歯磨き(歯磨粉付き)をしたりするのも、風味が分からなくなってしまうのでタブーです。
チョコを食べる前にお水をちょっと飲んだり、プレーンのパンやリンゴを少し食べたりして、口をニュートラルにしておきます。
目を凝らす
チョコレートの表面を見ます。大切なポイントは2つ。
- チョコレートに光沢がある
- 気泡、白い筋や斑点がなく、すべすべとした均一な表面である
ホワイトチョコと混ざったマーブル模様のものや、表面に細工のあるものは見極めが難しいです。
ビターチョコ(ブラックチョコ)の場合は、マホガニーのように赤黒い色調のこげ茶をしていると良品です。
耳を澄ます
良いチョコレートはパリッと割れます。板チョコや薄く小さな正方形の「カレ」などの場合は、割ったときの音に耳を傾けてみましょう。他の形のチョコならば、歯があたったときの音が参考になります。
- すっきりと乾いた音がする
これがいいチョコの特徴。
ぐにゃっとして音がしない場合は、室温か品質に問題があります。
手で愛でる
板チョコやカレならば、手で割ってみます。次の2つがポイントです。
- 手で折ったときに、パリッときれいに割れる
- チョコの表面がブツブツとざらつかず、シルクのようにつるつるしている
表面にカカオパウダーがついているトリュフや、トッピングがまぶされているチョコの場合は、チョコレートを触れないのでほとんど意味がありません。
鼻を利かす
チョコレートの命ともいえる香り。嗅覚を使って注意するのは、次の2点です。
- 豊かなチョコレートの香りがしっかりと感じられる
- 香りの余韻が長い
チョコレートの種類にもよりますが、プラリーヌのような詰め物入り一口チョコでも、カカオの香りが薄いものはチョコレート自体の品質がよくありません。
香りを最大限楽しむには、チョコを舌の上で溶かしながら、口を閉じた状態で鼻から息を吸います。
口で愛でる
口に入れたらちょっとだけ歯を立てます。ほんの少し噛んだら、あとは舌の上に放置。体温で溶けるのを待ちます。
良質のチョコの特徴は、
- 舌触りが滑らかで、ざらつかない
- 風味が長く口に残る
- 酸味、渋み、苦み、えぐみがなく、まろやかな口当たり
- 甘すぎることがなく味にバランスがとれている
です。
以上、簡単なポイントですが、これを押さえておけばチョコレートの基本的な質がちゃんと分かります。
ゆっくり味わうという作業は、普段あまり意識しない感覚に集中するので、気分転換にももってこいです。
また、これらのチェックポイントをもとにした分析 + アウトプットをゴリゴリ突き詰めると、チョコレート・テイスティングになります。その場合は、チョコそのものの味がしっかりと分かるよう、板チョコやカレを使ってテイスティングしましょう。
エンジョーイ!