黒いフランスパンを、ブリュッセルで見つけました。
ライムギを使っているような通称「黒パン」の茶色いパンではありませんよ。筋金入りで色が真っ黒なパンです。
むだに鉄隕石と比べても、その黒さがよく分かります。
ベルギーの家の近所にオープンした「おしゃれパン屋」で目にした黒いフランスパン。なんだか気になるので、お昼のメニューを変更して買ってきました。
そこで、黒いパンがどんな味なのか、黒いパンが黒い理由やその成分について調べたので、情報をシェアしたいと思います。
黒パンが黒い理由
オシャレなパン屋さんで、オシャレ感いっぱいの店員さんに、まずは黒パンのことを尋ねてみました。
と、開口一番、お決まりのジョークを返してくれました。
続けて話を聞いてみると、黒い理由は想像していたイカ墨ではありませんでした。
ということで、普通のバゲットも買って、味比べをすることにしました。
黒フランスパンの味
活性炭と言えば、脱臭剤やブリタの浄水フィルターのイメージしかありません。
いくら「活性」とつけられても、炭は炭。
と思ってしまいます。
恐るおそる口に入れたところ、
ふつうのパンの味しかしませんでした。
いつものフランスパンと比べると、さっぱりした感じがしなくもありませんが、気のせい程度。要は同じ味です。
味自体には何の特徴もありませんが、ダークな見た目なのにフツウの味、というギャップが面白いです。
黒パンは本当に身体にいいのか?
おしゃれなパン屋さんは
と言っていましたが、ちょっと気になったので調べてみました。
もともとは薬用
活性炭は、特別な方法で作られている多孔質の炭。
周りの物質を吸着するという特徴を利用して、食中毒の解毒や腹部の膨満感解消などの目的で、自然療法としても利用されてきました。
でも、そのためには、ものすごい量の活性炭を摂取しないと効用があらわれません(参照ソース1、2)。
つまり、黒パンを食べたくらいでは効果は限りなくゼロに近く、それ実感するのはほぼ不可能とされています。
- 胃にもたれない黒パン
- 消化に良い黒パン
という聞き心地のいいセールス文句は、誇張表現と言わざるをえません。
注意が必要な人も
活性炭のこの特徴が、身体に悪影響を与える場合もあります。
例えば、薬の効きが悪くなるという点。
多孔質の活性炭は、薬の成分も吸収してしまう可能性があります。専門家によると、糖尿病の薬などを服用する場合、その前後1~2時間くらいは活性炭入りの黒パンを食べるのは避けるべきとしています(参照ソース1)。
また、子供には不向きなパンです。
子供は、成長に必要な栄養素を大人以上に気を付けて摂取しなければなりませんよね。でも、なんでも吸着してしまう活性炭は、栄養吸収を妨げてしまう可能性があります(参照ソース1)。
子供が何かの機会に活性炭入りのパンをちょっと食べる分には問題ありませんが、毎日の食事として頻繁に食べるのはおすすめできません。
積極的な摂取には大きな疑問
ヨーロッパでは、活性炭はE153という色素と定められています(参照ソース5)。食品に添加することはできますが、パンには使用できないフランスのような国もあります(参照ソース4)。
近年でこそ活性炭の利用に慎重になってきたヨーロッパですが(参照ソース3)、アメリカはさらに慎重です。アメリカでは活性炭の食用使用を認めていないだけでなく、FDA(アメリカ食品医薬品局)は活性炭に発がん性物質が含んでいるのではないかと推察しています(参照ソース1、2)。
まとめ
以上、黒いフランスパンから始まった、活性炭入りの黒パンについてのお話でした。
活性炭入りの黒パンの特徴をまとめてみましょう。
- 特別な見た目(真っ黒)
- 特別な味はない
- 身体にいい健康食品ではない
- ふつうのパンより高い
- 国によって販売できない
ということで、特においしかったり健康にいいわけではないけれど、ちょっと変わった見た目で高めに売られているパンという結論になりました。
個人的には、身体への影響がよく分からない活性炭入りよりも、イカ墨のはいった黒パンの方がいいなぁと思いました。
この記事の参照ソース
- National Geographic Italia, Pane al Carbone vegetale: tutta la verità(2015年11月5日掲載、2018年3月22日参照)
- L’Eco di Bergamo, L’avviso di Aspan sul pane: «Non producete quello al carbone attivo» (2015年11月29日掲載、2018年3月22日参照)
- EUR-Lex, Regolamento (UE) n. 231/2012 della Commissione, del 9 marzo 2012 , che stabilisce le specifiche degli additivi alimentari elencati negli allegati II e III del regolamento (CE) n. 1333/2008 del Parlamento europeo e del Consiglio Testo rilevante ai fini del SEE(2018年3月22日参照)
- EUR-Lex, Regolamento (CE) n. 1333/2008 del Parlamento europeo e del Consiglio, del 16 dicembre 2008 , relativo agli additivi alimentari(2018年3月22日参照)
- EUR-Lex, Regolamento (CE) n. 1831/2003 del Parlamento europeo e del Consiglio, del 22 settembre 2003, sugli additivi destinati all'alimentazione animale(2018年3月22日参照)