みなさんは、恋人や結婚相手といった大切なパートナーをどのように呼んでいますか?名前だったり、「パパ」や「ママ」といったことばだったり、2 人だけの秘密のあだ名だったりするのでしょうか?
欧米ではパートナーを名前ではない愛称で呼ぶ人が少なくありません。いわゆる、英語でいうところの「ダーリン」、「ハニー」、「ベイビー」、「シュガー」といった、ちょっとくすぐったい呼び方をする人が普通にゴロゴロいます。
そして、10人中6人はパートナーを名前ではなく愛称で呼ぶという統計*もあるフランスでは、その愛称もさまざま。傍から聞いていると頬を赤らめてしまうようなものから、まるで謎な愛称まで、いろいろな面白い「愛の呼びかけ」を知ったので、楽しく共有したいと思います。
ロマンチックな夕べに使ってみたら、恋心も愛情もぐっと深まるかもしれません♪
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ザ・王道 : ChériとChérie
一番使われている愛称がこちら、シェリー。周りのお友だち夫婦や親戚夫婦など、とにかく耳にする王道中の王道表現で、直訳すると「愛しの人」となります。
男性版と女性版があるほか、それぞれバリエーションがあります。
- パパや彼を呼ぶとき
- ママや彼女をよぶとき
そしてシェリーといえば思い出さずにはいられないのが、往年の名曲、ミッシェル・ポルナレフの『 Tout, tout pour ma cherié (シェリーに口づけ)』。
タイトルは、「すべて、すべて、愛しい君のため」という意味で、一途な恋心を歌う曲です。
よく歌詞を聞いてみたら「名前も年齢も知らないけど愛しい」と歌っています……ってことは、愛しているからシェリーと呼んでいたのか、名前を知らないからシェリーと呼んでいたのか、なかなかの難問。
大切なあなた:Mon cœur
こちらも鉄板の呼び方。 Mon cœur(モン・クー)は直訳すると「私のハート」。
体中に血を送る生のシンボルである心臓=人生の要である大切な人、といった意味合いがもともとあります。
こちらは、同じ呼び名が男性にも女性にも使えます。
問題なのは、心臓を意味する cœur の発音。カタカナで「クー」と表記しましたが、実際は「カー」と「クー」の中間のような日本人泣かせの音です。
正しい発音を意識して大いに気張って囁いたら、「モン・クー(私のハート)」が「モン・キュー(私のオシリ)」になって大喧嘩になった、というのは愛溢れる若かりし日の苦い思い出。
万国共通「ベイビー」: Bébé
こちらも男女共通の愛称 Bébé (べべ)。意味は「赤ちゃん」。英語の「ベイビー」と同じ愛称です。
所有形容詞 mon をくっつけると mon bébé (モン・ベベ)となって、愛情に独占欲をプラスできます。
歳を重ねると自分の赤ちゃんができることもあるせいか、特に20代前半未満の若い人が好んで使う愛称です。
歳を重ねて使ったら、何より愛しい我が子がもれなく登場する可能性大。
ちょっと濃いめ:Mon amour
こちらも鉄板の愛称 Mon amour (モナムール)。まんが『ベルサイユのばら』でもよく出てきた「ザ・フランス」的な表現ですが、もともとの意味は「我が愛」。
といった具合で、愛していれば女性にも男性にも使えます。
かなり濃厚な呼び方で、砂糖多め、こってりクリームたっぷりなイメージの表現。愛情が濃縮されています。相手が恋人でも結婚詐欺師でも、こう呼ばれたらもはや逃げられないと腹をくくりましょう。
生物いろいろ
動物のかわいらしさが、パートナーの愛おしさに通じるのでしょうか。いろいろな動物の単語が大切な人を呼ぶ愛称として使われています。
- Mon lapin (モン・ラパン): 僕のうさぎちゃん
- Mon canard (モン・カナール): 私のあひるちゃん
- Mon poussin (モン・プサン): 僕のひよこちゃん
などなど。
そんな中、驚くのがこちら。
女性を呼ぶ愛称ピュスは、直訳して驚きの「ノミ」。虫です。ピョーン、ピョーン。
謎の愛称ピュスには、バリエーションもいっぱい。
意味が分からない愛称
結局のところ、愛称はニックネームと混じるところもあり、要はなんでもあり。それぞれのストーリーから生まれた、カップル固有のオリジナルな愛称もいっぱいあります。
私の出会った意味不明系、妄想系の愛称を一部ご紹介しましょう。
- Nouille (ヌイュ): ヌードル
- Mon petit prince(モン・プティ・プランス):私の小さな王子さま
- Ma reine (マ・レーヌ):僕の女王さま
- Mon beau chevalier(モン・ボー・シュバリエ):私のハンサムな騎士さま
- Mon Apollon (モナポロン):私のアポロン
- Ma déesse(マ・デエス):僕の女神さま
- Petit sushi (プティ・スシ):小さなお寿司
- Crevette(クロヴェット):エビ
こうなってくると、もう訳が分かりません。分かる必要もありません。異種格闘技戦みたいです。
まとめ
以上のように、フランス語には愛情いっぱいの呼び方がいっぱいあります。
一言で強引にまとめるなら、
愛は盲目
といったところでしょうか。
みなさんもフランス語の愛称で、愛する人との生活に甘いスパイスをプラスしてみてはいかがでしょうか?
*コスモポリタンに2017年2月15日付で掲載の記事『 Surnoms mignons et petits noms d’amour : ce que les hommes en pensent…, Cosmopolitan 』 より (2017年8月3日 参照)。