住んでいた期間の長さからも、自分の人生に及ぼした影響の大きさからも、イタリアは私にとって第2のふるさと。イタリアで過ごした久々の夏休みは、切ないような懐かしさがいっぱいで、たっぷりと「故郷」の空気を吸うことができました。
この思いがホヤホヤのうちに、現地で実感した「これぞイタリア!」と唸ってしまうようなイタリアの特徴をご紹介したいと思います。イタリア旅行前に読んでおけば、心の準備にもなって、行く前からイタリアが大好きになること間違いありません♪
まずは前編。イタリア的な5つの現象です。さあ、いってみましょー!
記事内の伊和訳は、すべてぱんたによるものです。
機械が壊れている
イタリア滞在初日、最初に停めた有料駐車場で出くわしたのがこちら。
「お知らせ。駐車券販売機は故障中です。近くの販売機を利用してください。←→」。
駐車場のチケット販売機。地中海の太陽に眩しく反射して壊れています。故障してからかなり経っている放置感がたまりません。
と、小さいことにこだわっていてはいけません。貼り紙には←と→の矢印がついているのに、「近くの販売機」が左にはなくて右にしかないことも気にしてはいけません。ここはイタリアです。
この国では、かなりの確率で壊れた機械に遭遇します。自動販売機からは、おつりが出てこないことも頻繁にあります。ついでに、おつりが多めに出てくることもあります。
Errare humanum est.
(過つは人のさが)
人間が間違えたり病気をしたりするように、機械だってしくじったり休みたくなっちゃったりするときが結構あるのがイタリアです。
- 機械は必ずしも正確に動くわけではない
- モノは壊れる
イタリアにいると、そんなことを忘れてしまっている日常に気づかされます。
動かないマシンに腹を立てるか、「あら、私もちょっと故障しちゃおうかしら」と心を緩めるかは、あなた次第♪
文字は何よりも強し
海辺を散歩していて見つけたサッカーゴール。
「シュート禁止」。
ゴールがあったらシュートしてしまうのは、サッカー大国に流れるDNA。しっかり禁止しておかなければゴールを決められても文句は言えません。
「考え方は人それぞれ」というヨーロッパの中でも、際立って一人ひとりが個性豊かにバラバラなのがイタリアという国。めいめいが好きなことをするのが当然なので、禁止事項はしっかり文章化しておかなければなりません。「空気読んでよ」と期待しても、そんな空気は鼻から吸われて屁の河童です。
Carta canta.
(書かれたものがモノを言う)
フェラーリやランボルギーニの国では、道交法も重ねて文章化。
「制限速度を守りましょう」。
さらに高速を走って驚いたのは、こんな表示をしていた電光掲示板。
「GUIDA E BASTA! 」。
あえて乱暴に訳してみると、「運転だけしてろ!」。
ビックリして写真なんて撮れませんでした。「 #guidaebasta 」とハッシュタグも付いていて、後で調べたらしっかりキャンペーンが張られていました。
#Vietato ritoccare il #makeup a #semafororosso.
Quando guidi, #GUIDAeBASTA!#sicurezzastradale #guidasicura @poliziadistato pic.twitter.com/QcQQKvuFUS— Anas SpA (@StradeAnas) 2017年7月14日
ツイート:「赤信号ではメイク直し禁止。運転中は、運転だけしましょう!」
大切なことは文章化。当たり前のことも文章化。
なんでも当たり前においしい
イタリアには頬っぺたの落ちるようなおいしいものがたくさん。食べるものも飲むものもおいしいのが普通なので、高級店に行く必要がないくらいです。逆にイタリアでまずいものを口にするのは、運の悪い観光客と自炊のできない大学生くらいです。
基本的にイタリアのおいしいものは大枚をはたいて食べるものというよりも、新鮮で旨い素材を売っている人や店と知り合って、手に入れたり、口に入れたりするものです。
パンに子ブタの丸焼き(目の前でスライス)を挟んだだけのサンドイッチ(約350円*)。凝ったソースも何にもないけれど、一つひとつの味がいいから堪らなく美味。
コーヒー1杯、ミニドーナツ1個、炭酸水1杯(合計約250円*)。エスプレッソの本場でコーヒーを飲むと、イタリア人が他国のコーヒーを「泥水」と呼ぶのもあながち否定できません。
前菜(約1000円*)。どうしたってワインが進みます。テーブルワインが安くておいしいのもイタリアならでは。
野菜には太陽のうまみが凝縮。とにかく、味も香りも濃くておいしいんです。生きてて良かった。
新鮮なイタリアの野菜を使えば、何の変哲もないパスタも驚くほどおいしくなるので、ママの株も急上昇します。
*いずれも2017年7月のレートを参考にした概算。
子どもは可愛がるもの
娘と旅行して痛感するのは、イタリアでは子ども供が大歓迎されるということ。
とにかく、子どもについて親が話しかけられて声がかれるほどおしゃべりに花が咲くことはもちろん、子ども本人はデフォルトで特別扱い。イタリア人がどんな風に子どもとからんでくるかというと、
- 笑いかける
- 話しかける
- なでる
- ほめたたえる
- ほっぺにキスする
- おかしをくれる
- パンをくれる
- ハムをくれる
- おもちゃをくれる
- 豚肉をくれる
始終こんな調子です。今回も「かわいいねぇ、かわいいねぇ」と言われすぎたようで、娘が困ったことになっています。
イタリアは子どもの楽園。
グレーなことがいっぱい
娘が4歳になってから、旅先のホテルでも子ども料金を払うようになりました。
今回の旅行でも、ネット上でホテルを探すと「3歳以上の子ども1人あたり○○ユーロ追加」と出てきました。ところが、実際にオンラインで申し込もうとするとエラー続出。子どもと3人で1部屋に収まることができません。埒が明かないのでホテルに電話すると、
結局、3つのホテルに子ども料金なしで泊まってきましたが(いずれも最大定員3名以上のダブルルーム)、ネット上にあった子ども料金は何だったのか、いまだにミステリーです。
イタリアには、こんなグレーなことがいっぱい。それをイタリア人は「柔軟さ」と呼んでいて、それがカオスの一因ともなっている反面、問題に直面した時には天才的な解決策を生み出す土壌にもなっているように思えます。
そして、今回出会ったもう1つのグレーな景色。
有料駐車場に停めてあるキャンピングカー。駐車中というか、売り出し中です。
窓の貼り紙には「売ります。電話番号:○○○○○○○○」と書かれているだけで、車のスペック、売り主、値段など、すべては電話をするまで何も分かりません。パーキング・チケットもないし、合法とか非合法とかいう次元を超えて、謎がいっぱいの中古車が絶賛無人販売中。ご興味のある方は、ぜひ連絡を。
以上、「イタリアの特徴10こ【前編】」でした。残り5つの特徴は、続く【後編】でお届けしています。こちらもぜひお見逃しなく!
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