この記事では、ポルトガルの世界遺産ジェロニモス修道院と、その内部にあるサンタ・マリア教会について紹介しています。
ポルトガル建築の最高峰とされるジェロニモス修道院。
ポルトガルを旅行した人たちに「絶対に行くべきスポット」として勧められていましたが、その通り行ってよかった場所でした。
ということで、みなさんとシェアしたいと思います。
マヌエル様式
ポルトガル黄金期の栄華をたたえるジェロニモス修道院。16世紀初頭に着工、完成までには実に300年以上もの時間がかかっている大寺院です。
ポルトガルがこの修道院を建築できたのは、東洋やアフリカとの海洋交易で築いた莫大な財力があったからこそ。
ジェロニモス修道院の豪奢なスタイルから、19世紀にはマヌエル様式という建築様式が定義されました。
「マヌエル」という名前は、ポルトガル王マヌエル1世にちなむもの。大航海時代に巨万の富を築いた国王で、その統治下で広められたスタイルだからです。
ちょっと変わったゴシックで、おもしろい特徴があります。
- 過剰な装飾
- 航海モチーフ(天球儀、錨、ロープ、ブイなど)
- 海洋モチーフ(貝、真珠、海藻、サンゴ、フジツボなど)
- 植物モチーフ(ローリエ、オークの葉、ポピーなど)
- キリスト教シンボル
- エキゾチックな自然や文化のモチーフ(イスラム文化、インド文化など)
- らせん状の柱
こんな要素を頭の隅に覚えておくと、見学がさらに楽しくなります。
参照: Encyclopaedia Britannicaサイト内の「Manueline:Architectual Style」より
修道院の回廊
ジェロニモス修道院では、マヌエル様式がさく裂する回廊を見ることができます。
緻密な建築・彫刻技術を駆使した回廊は、白いレースでできているよう。
近くによると、海っぽい感じがいっぱいです。
1階には、みごとなタイルで南欧感あふれる食堂もあります。
2階に上がると、中庭を見下ろせるだけでなく、
サンタ・マリア教会も俯瞰できます。
青空にまぶしく輝く白い回廊から、教会の暗がりのコントラストが印象的です。
そして、大きなキリスト像も。
実用テク:ムダに並ばないための入場時の注意
世界遺産というだけあって、修道院は開館前からものすごい人が並んでいます。ただ、この行列はチケットを買う列。そのほかに、短い列が2つあって、無料のサンタ・マリア教会に入る列、修道院のチケットをすでに持っている人のための入館の列があります。
修道院にスムーズに入場するには、事前にチケットを買っておくのも手ですが、当日チケットを修道院入り口手前のツーリストインフォで買うと、スムーズに入場できます。
サンタ・マリア教会
ジェロニモス修道院の回廊を堪能した後は、出口脇からサンタ・マリア教会に入ります。
教会の入場は無料です。
正面入り口を入ってすぐの右手に、立派な石棺があります。
16世紀の詩聖ルイス・デ・カモンイスのお墓です。
人がたくさんいるのに、とても静かな堂内。おごそかに身廊を進んでいきます。
左の翼廊は、宝物殿(有料)。天井と一体化した柱が支える部屋が広がっています。
壁をぐるっと囲んでいるのは、聖人の一生を描いた絵画。
悪魔に誘惑されたり、神さまの導きを得たり、聖人も大変です。
宝物殿を出て身廊を出口に向かって進むと、ひときわ人の群がる石棺があります。
ヴァスコ・ダ・ガマがここで眠っています。ロマンです。
カメラを手に棺を囲むツーリストが、一様に大航海時代のロマンを胸にたぎらせてシャッターを切っています。
棺もしっかりマヌエル様式です。
修道院レシピの絶品エッグタルト
ジェロニモス修道院のそばには、絶品のエッグタルトでとても有名なパティスリー「Pastéis de Belém」があります。
エッグタルトは、ジェロニモス修道院に伝わるレシピで作られています。
修道院を訪れたあとは、ここでお茶を飲んでもよし、お土産にテイクアウトしてもよし。とにかく、エッグタルトを頬ばるのがおすすめです。
修道院見学の思い出を、味覚にも刻み込みながらいただきましょう。
つねに行列があるけれど、手際よくお客さんをさばいているので、それほど待ちません。
まとめ
リスボンの中心地からちょっと外れた修道院ですが、そのおかげで大地震による火災から損壊を免れた貴重な歴史モニュメント。
ポルトガルに旅行するならぜひ訪れたい、ロマンあふれるスポットでした。
おしまい