先日、幼稚園児の娘が修学旅行に行ってきました。
日本で修学旅行や林間学校と言えば、小学校高学年からというのが一般的ですよね。
ところが、ベルギーの幼稚園では年長さんになると家族から離れて旅行します。
「お泊り保育」ではなく、れっきとした旅です。
そこで、ベルギーの幼稚園で行われている修学旅行についてお話をシェアしたいと思います。
ドキドキ、ワクワクの幼稚園修学旅行について、見ていきましょう!
幼稚園の修学旅行の概要
私の娘が通うのは、ベルギーの公立幼稚園。
年長さんが始まった直後に、「修学旅行のお知らせ」をもらってきました。
私は「幼稚園児の修学旅行」なんて過去に聞いたことがなく、ヨーロッパで育ったパパにとっても初耳の制度でした。
外国人が多いブリュッセル。幼稚園に行くと、親の多くが大心配の一大イベントであることが判明しました。
ところが、生粋の現地の人、つまりブリュッセルで生まれ育った人にとっては、遠足に行くくらいの感覚。かなり「フツーのこと」である事実も分かりました。
近所の公立幼稚園はどこも同じ修学旅行プログラムを行っていて、コミュニティ共通の通過儀礼といった感じなのでしょうか。
長くて遠い旅
修学旅行の全スケジュールは、驚きの4泊5日。
国内とはいえ、120㎞ほど離れた海辺の施設に泊まります。
自分の子ども時代を考えると、小学校5年生で1泊2日の箱根林間学校が初めての集団旅行です。
思わず表で比較せずにはいられません。
|
小5の私 |
年中の娘 |
差 |
年齢 |
10歳 |
5歳 |
-5歳 |
旅先の距離 |
約70キロ |
約120キロ |
+50キロ |
滞在期間 |
1泊2日 |
4泊5日 |
+3泊4日 |
テロの記憶も遠くなく、考えれば考えるほど、不安が募ります。
いろいろな理由で不参加を表明する家庭もありますが、娘の幼稚園ではほぼ全ての子どもが参加していました。
修学旅行の目的
この旅行は、幼稚園での学習をしめくくるプログラム。
趣旨から考えると、やっぱり「林間学校」でも「お泊り保育」でもなくて、「修学旅行」なのです。
そんなに遠くに行かなくてもいいような気もしますが、幼稚園で学んだことを実践に活かすプライスレスな経験になるとのこと。
- 社会性を育てる
- 自立した心と行動を育む
- 校外で学ぶ
といったメリットを享受して、子どもたちは「大きく成長して」親元にもどってくることになるわけですが、
という、親心があるのも確かです。
お値段
各家庭が負担する修学旅行代は合計220€(日本円で約29,000円*)。
- バスの往復
- 4泊5日の宿泊施設利用料
- 先生の付き添い
- 5日分のご飯代
などが含まれていて、出発前に月8,000円くらいづつ積み立てます。
嬉しいことに、この費用は「子どもの健やかな成長に必要な費用」として計上され、帰宅後に親の加入している健康保険から一部還元される予定です(現在還元手続き中)。
その他、旅行中に必要なモノをそろえるのにかかった費用は、おそらく2万円未満。
おおよそで合算すると、4泊5日の修学旅行にわが家がかけたお金は5万円弱ということになります。
*2018年4月のおおよそのレート1€=130円で計算。
何をするのか?
子どもたちは、旅先でこんな1日を過ごします。
- 8:00 朝ごはん
- 9:00 午前のアクティビティ開始
- 12:00 昼ごはんとお昼寝
- 14:00 午後のアクティビティ開始
- 17:00 宿舎に戻り、シャワー
- 18:30 夜ごはん
- 消灯
基本ともいうべき「起床時間」や「消灯時間」の指定がないところが、おおらかです。
イスラム教の子も参加しますが、ごはんには豚肉メニューもふんだんに盛り込まれていて、こちらもかなりおおらか。
普段の幼稚園生活にお昼寝タイムはないので、いったん休ませるということは、旅行中は体力勝負であることが想像できます。
5月初旬のベルギーは、まだまだ肌寒く海水浴はできません。
子どもたちは、旅先となる海辺でいったい何をしてきたのか、見ていきましょう。
エビ釣り
メインイベントの1つは、小エビ釣り。
網を使って、エビを捕まえます。
捕まえた翌日は、観察したり、食べてみたり、体を使って自然を学びます。
砂の城コンテスト
砂のお城……
というよりも、大きな砂山を作って、クラス対抗で競います。
満ち潮に耐えて、できるだけ長く旗を掲げていた山が勝ち、という公平なルール。
動物と触れ合う
子どもの団体を受け入れる宿泊施設なので、ロバ、犬、アヒル、ニワトリといった子どもに優しい動物がいます。
海で自然観察
潮の満ち引き、風などの自然現象を観察します。
ダンスパーティー
お泊り最後となる夜の打ち上げパーティーです。
キャンプファイヤーを囲んでみんなで歌うわけではなく、ミラーボール輝くホールで踊り狂います。
持ち物
幼稚園から渡される持ち物リストはめまいがするほど長く、子どもたちは膨大な荷物を大型スーツケースに詰めこんで旅立ちました。
リストの中に並んだ持ち物は、
- 毛糸の帽子から短パンまで、季節の変わり目万歳なワードローブ
- 長靴、サンダル、バケツなどの海グッズ
- 寝るとき用のぬいぐるみや本
- 洗面用具
と、古今東西のベーシックアイテムだけでなく、
- スリッパ
- シャワーキャップ
- バスローブ
といった、ずいぶん洋風なものもありました。
子どもたちのお世話具合
旅行中、特に心配だったのが、子どもがきちんと面倒をみてもらえるのか、という点です。
- 歯磨き
- シャワー
- トイレ
などなど、普段の1日の中に、気になるポイントはいっぱいです。
結果は、
- 歯磨き → 仕上げ磨きなし
- シャワー → 女子は身体だけ毎日洗う(イタリアで「この香り、48時間続く」と謳っていたロレアルの衝撃的なシャンプーCMが記憶に懐かしいが、それをはるかに上回る5日の不洗髪)
- トイレ → ご自分で
といった感じで、子どもが自分の面倒を見るのが基本でしたが、外出前には先生が日焼け止めクリームを塗ってくれるなど、思わぬところで手をかけてくれていました。
子どもの不在に親は……
娘の出発前は、
と恐れていましたが、予想に反して涙を流すことはありませんでした。
娘の不在は、何か大切なものが欠けていて変な感じではあるものの、さみしい気持ちよりも、帰ってきたらアレをしよう、コレをしよう、という楽しみな気持ちが勝っていました。
先生方が旅先から子どもたちの写真を父兄に毎日送ってきてくれたので、これが安心感につながったことは想像に難くありません。
そして、久しぶりに自由の身となった親は、ありがたく貴重な時間を堪能しました。
子どもと一緒に観れない映画に行ったり、
時間を気にせず夜に外ビールしたり、
ムダに夜の観光をしてみたり……。
子どもが成長してきた機会は、親が大人の時間を数年ぶりに思い出せた機会でもありました。
まとめ:修学旅行に参加できて良かった
結果を言うと、心配は尽きなかったけれど、修学旅行に参加させてよかったです。
- ママやパパがいなくても自分のことを自分でできたという自信や誇り
- 友だちと一緒に特別な時間を過ごしたという思い出
- その楽しい思い出をお友だちと分かち合う喜び
磯のかおり漂う砂まみれのズボンや、おみやげに集めた貝殻(身が入ったまま干からびた貝)といっしょに、そんな様々な思いもスーツケースに詰め込んで、日に焼けた満面の笑顔が元気に帰ってきました。
子どもは、親が思っている以上にしっかりしているんだなぁと、あらためて成長を確認する機会でした。
おしまい