母の日のプレゼント、小さくても大きくても嬉しいものですよね。
私も一人の母として、ついこのあいだ、幼稚園年長の娘からかわいいプレゼントをもらいました。
そして、その中にかなり意表を突かれたプレゼントが仕込まれて、つくづく母親になれて良かったという経験をしました。
それでは、ベルギーでの母の日プレゼントにまつわるお話を、みなさんとシェアしたいと思います!
挙動不審な園児たち
娘が通うのは、ベルギーの公立幼稚園。母の日に向けて、園では数週間前からせっせと工作を始めます。
子どもたちは、念入りに、こっそりと、ママへのプレゼントを準備します。
と箝口令がしかれているのか、5月に入ると園児たちの挙動不審度がぐっと上がります。
お迎え時のアワアワ度はハンパありません。
ママとは日本語でしゃべる約束なのに、フランス語ダダ洩れのありさまです。
母の日工作
では、何を作っていたのかというと、年中さんのときはネックレスでした。
不器用に動く小さな手を想像して、塗りむらがたまらなく愛おしくて、ママは悶絶しました。
年長さんでは、トートバッグ。
ハートいっぱいなママと娘の構図に、パパはちょっぴり寂し顔です。
そして、次のようなメッセージカードがついていました。
子どもってスゴイ!
裏に飾りのほどこされたカードには、かわいい手書きのメッセージはありませんでした。
その代わりに、母の日にちなんだ詩がプリントされていています。
と思いながらよく読もうとすると、娘は私の手からカードをそっと取りあげ、裏に返してテーブルに置いてしまいました。
それから、おもむろにママとパパの正面に立つと、人差し指を口の前にあてて沈黙を促し、深く息を吸うと、
Imaginons que ma mai
est une fleur :
Voyons si maman m’aime:
Un peu
Beaucoup
Passionnément
A la folie
Pas du tout.
Pas du tout, vilaine fleur!
Je sais bien que
ma maman m’aime
de tout son coeur!
私のお手てを
お花にしましょう
ママは私を好きかしら
ちょっと好き
大好き
熱烈に好き
頭がおかしくなるほど好き
全然好きじゃない
全然なんて、ひどいお花!
私はよく分かってるんだから
ママが私を好きなこと
心の底から好きなこと!
(和訳:ぱんた)
と、ジェスチャーをつけながら、フランス語の詩を暗唱したのでした。
私は胸がいっぱいになり、ことばが出ませんでした。
生の意味が凝縮された「エピファニー」と呼ばれるような瞬間に襲われたような、思いがけない経験でした。
子どもという宝物
今になって考えると、この時の気持ちは、子供の成長を喜ぶ感動だけではなく、自分の知らない子どもの一面を目の当たりにした衝撃でもあったように思えます。
娘が朗読したのは「手遊びうた」のジャンルにも入るような子供向けのものですが、私にとっては良く知らないフランス語の詩句。
- 5歳
- 詩
- 暗唱
という3つの概念は、私の頭の中ではそれぞれ別次元に存在していた。それゆえ、自分の子どもの「想定外」の行動に驚いた、ということになります。
だからこそ、親として子どもがもつ可能性をどれだけ過小評価していたのだ!と、心を鷲掴みでゆすられたような、強い衝撃を受けたのでではないでしょうか。
「子どもたちからは学ぶことがいっぱい!」という、パパやママの幸せな声をよく耳にします。
私もまったく同感で、今年の母の日は、娘に対してあらためて、
- 生まれてきてくれてありがとう!
- ママにしてくれてありがとう!
という気持ちでいっぱいになりました。
ということで、まずはサボりがちなフランス語の宿題をきちんとするところから始めようと思います。
おしまい