ベルギーの幼稚園では、子ども一人ひとりのお誕生日をクラスで祝ってもらえます(2019年以前)。
お祝いの方法が日本とはちょっと異なりますが、子どもにとっては嬉しく、親にとってはある意味とても効率的な仕組みになっています。
そんなベルギーの幼稚園でのお誕生日会事情をご紹介します。
「お祝いしてねっ!」の自己申告制
ブリュッセルの公立幼稚園に通う娘は、先日クラスのみんなにお誕生日を祝ってもらい、とても嬉しい思い出ができました。
日本の幼稚園や保育園と比べるとお祝いの仕方がかなり違うと思うのですが、ベルギーは何が根本的に違うかというと、ズバリ、自分から積極的に祝ってもらう姿勢です。
日本では園や担任の先生が全児童のお誕生日や月を把握して、園主導で月1のお誕生日会を開くところなどが多いと思います。
しかし、ベルギーの幼稚園では、たいていの先生は子どもたちのお誕生日を把握していません。
そこで、親(または子ども)が担任の先生に誕生日が近いことを告げ、先生と簡単に相談してクラスでお祝いする日を決めておきます。
そして、当日はバースデー・ケーキを持参して、クラスメートにお祝いをしてもらいます。
お誕生日会の準備
お誕生日当日は担任の先生が時間を確保し、クラス全体でお歌を歌ったり、ケーキを食べたりして楽しくお祝いします。
そのために、親は当日に向けてちょっとした事前準備が必要です。
用意するもの一覧
- ケーキ
- 飲み物
- 小物(ナプキン、ろうそくなど)
- ガジェット
ケーキ
手作りでも既製品でもなんでもかまいませんが、娘のクラスは手作り派が多いです。
特に禁止されている原材料などはなく、チョイスは保護者の一般常識にゆだねられています。
我が家が用意したのは、娘のリクエストで「ウサギのケーキ」。
当初のラブリーな完成予想図とはかけ離れ、
パンチのきいたマッド・バニー(ゴールドのラメ入り)になりました。
生クリームは避けてほしいと担任の先生がほのめかしたので、生クリームを入れる代わりに粒チョコを詰めてピニャータ・ケーキにしました。
苦肉の策でしたが、結果的には子どもたちに大盛況だったとのことで、結果オーライ。
飲み物
先生に何がいいか尋ねたところ「ジュースだったらなんでもいい」と鷹揚な回答でした。
お祝いと言えば子どもだってシュワシュワ!ということで、炭酸オレンジジュース(オランジーナ)を3L用意しました。
小物
ペーパーナプキン、コップ、ろうそくなど。
ガジェット
娘のクラスでは、ケーキのほかに、一人ひとりに渡せる小さなプレゼントを用意している家庭が多いです。
幼稚園の会でお誕生日プレゼントはもらいませんが、日本のお誕生日会に参加するといただく「おかえし」的なものです。
我が家は娘のチョイスをもとに、お菓子数種類とシャボン玉を袋詰めにしました。
グミなどは宗教上微妙なチョイスだと思い事前に確認しましたが(ゼラチンに豚が含まれるため)、先生曰く「ノープロブレム」。こちらも各親の判断ということでした。
娘の場合は、イスラム教のクラスメート(複数)が本人の誕生日のときに配っていたので「良し」としました。
袋詰めの内職は娘も一緒に。自分のお誕生日が、ますます待ち遠しく、楽しみになります。
幼稚園お誕生日会のいいところ
幼稚園では自分一人が主役になり、クラス全員に祝ってもらえます。そのため、週末や放課後に家で改めて誕生日パーティーを開く必要もなく、誰を呼んで誰を呼ばないかというような招待客の悩みもありません。
もちろん、別途パーティーを開く家庭もありますが、ショーオフ的な大パーティーをする家庭は少数ないので(ロンドンは多かった……)、変に疲弊することなく純粋に子どものお誕生日を楽しくお祝いできます。
外から持ち込まれるケーキやお菓子を幼稚園で子どもに食べさせるという意味では、当然ながら親たちがお互いを信頼する必要があります。
アレルギーや食餌制限など細かい規定を設けずにうまく機能しているのは、おおらかな子育て環境と、基本的な良識が共有されている証拠なのかもしれません。
バースデー自己申告制のいいところ
実は、お誕生日に「積極的に自ら祝ってもらいにいく姿勢」はベルギーの幼稚園に限らず、ヨーロッパの多くの国で共通しています。
イギリスの学校では誕生日に「バースデーガール」や「バースデーボーイ」のバッジをつけて登校している子もたくさんいますし、イタリアの大学では誕生日の主役がパーティーを企画するのが普通でしたし、欧州圏の職場では主人も自作のケーキを持参して同僚にお祝いをしてもらっていました。
この習慣、「自ら誕生日をアピールして気づいてもらう」という相互関係がさっぱりとしていて気持ちがよく、「誰もお誕生日を覚えてくれなかった……」といじけてしまうことも回避できるので、中々の妙案だと思います。