ここベルギーは王国。王様がいます。王様はとても太っ腹なので、所有している温室や宮殿を一般市民にも無料で公開しています。
その中でも、首都にあるブリュッセル王宮( Palais Royal de Bruxelles )はアクセスも良く、見どころもたくさん。
と勧められて、私も2017年の夏に行ってまいりました。
もはやすっかり秋ですが、夏限定で一般公開されるブリュッセルの王宮の様子を画像いっぱいでみなさんとシェアしたいと思います。
Contents
ブリュッセル王宮
ベルギー国王は、2つの宮殿を持っています。
そのうちの1つであるブリュッセル王宮は、普段は王様の「仕事場」や迎賓館となっています。
- 国王や王女が、国内外の要人や賓客と接見する場
- 王室に属するさまざまな機関のオフィスを擁する建物
として毎日忙しく動いているため、通常は中を見学できません。
しかし、一般人が入場できる特別な期間が1年に1度、2か月ほど設けられています(1965年から毎夏一般公開)。
入り口から壮大なスケール
さあ、やってきました!
セキュリティチェックを抜けてエントランスに入ると、「これぞ宮殿!」と圧倒されるような壮大な空間が広がっています。
白い大理石に、緑や金のアクセントが見事に調和していて、階段中央には知の女神ミネルヴァの石像が据えられています。
建築家アルフォンス・バラットがベルギー王レオポルド2世の命を受けて、19世紀に設計した階段とエントランス・ホールです。
最初のお部屋
ホールの大階段を上って最初に入るのが、こちら「控えの間」。
広い空間にポツンと置かれたテーブルが、なんとも贅沢です。
面積の広さはもちろんのこと、天井の高さもロワイヤル。
このシャンデリアを我が家に置いたら、それだけでリビングがいっぱいになりそうです。
帝国の間
続いて、王宮の中で1番古い場所とされる「帝国の間」。
体積にして、いったい何軒分の一般家屋にあたるのでしょう?
余裕で屋内サッカーもできる広さです。
蹴ったボールが直撃して、落ちてくるのがこんな素敵なシャンデリアなら、下敷きになるのも本望です。
アドリア海を望む階段
18世紀の装飾が施された「大きい白の間」と「小さい白の間」を通過したあと、水の都をテーマにした「ヴェネツィアの階段」へ。
先ほどのエントランス・ホールを手掛けた建築家、アルフォンス・バラットの指揮のもと、19世紀半ばに改装された場所です。
ベネツィアを描いた大きな絵画は、19世紀のベルギー人画家によるもの。
こちらの絵は、サンマルコ広場の横を入ったあたりでしょうか。
シャンデリアもヴェネツィア。ムラーノ・ガラスがまばゆいばかり。
ゴヤの間
こちらは、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの名前が冠されたお部屋です。
「ゴヤの間」の由来は、壁に飾られた3枚のタペストリーをデザインしたのがゴヤだから!
全部で3枚セットのタペストリーは、スペイン王女イザベル2世が、ベルギー国王レオポルド1世に贈った特別なプレゼント。王室間のプレゼントだけあってゴージャスさがけた違いです。
ルイ16世の間
「コビュールの間」を通って、「ルイ16世の間」へ。
もともとは控えの間だったという場所。
飾られているポートレートは、レオポルド1世のプライベート・コレクション。
ナポレオンのイス
控えの間から食事の間に格上げされ、現在はお部屋の1つとなっている「柱の間」。
本来はナポレオンとその妻ジョゼフィーヌの使ったソファーがあるはずですが、見学日には展示されていませんでした。
うっとりする仕事場
過去にオランダ国王が宮殿を所有していたころは、謁見の間だったスペース「元帥の間」。2010年に改装されています。
奥にある丸い物体は、20世紀初頭に作られた年代物の地球儀。
円柱型の机は、アルベール1世の仕事場から移されたもの。
こんなところでお仕事したいなぁ。
スケールが桁外れの玉座の間
さあ、メインです。今までのお部屋以上に、どどどーんと大迫力のホール「玉座の間」。
あまりに広くて、広さを感じないほど浩々としたスペースです。
ランプはどうやって交換しているのか?という庶民的な疑問はさておき、巨大なシャンデリアが「これでもか!」というほど吊るされていて、とにかく豪華絢爛。
玉座の間には、王家にまつわる多種多様なモノが展示されていました。
こんなミイラまで!
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玉座の間と言うだけあって、とにかくゴージャス。
下を見れば、オークと外国の木材で細工を凝らした床。
上を見れば、黄金に輝くレリーフの天井。
前を見れば、彫刻のようなドアノブやカギ。
そんな中、ひっそりとたたずむごくごく一般的な電気コンセント。
野に咲く可憐な花のように、なんとも健気です。
王宮のコンセントは金でも大理石でもなく、フツーの白いプラスチック製であるという大発見。
大回廊
続いて、昔はレオポルド2世が食事をとっていたという「大理石の間」を通り抜け、「大回廊」へ。
王様が接見したり、饗宴を開いたりする大空間が広がります。
こちらは、その天井。
ルーブル美術館の名作や、ヴェルサイユ宮殿の芸術作品を敢えて模したような装飾になっています。
大回廊にも、王家にゆかりのあるモノやエピソードが展示されていました。
どうにもこうにもラグジュアリーなガラガラ。
「ベルばら実写版!」な子供服。
東方からのプレゼント。
の下に飾られた、写真……
大きな勘違いのもとに展示されているような気がしなくもありません。
ショッキングなアートの間
部屋に足を踏み入れたとたん、目が覚めるような緑色が広がっている鏡の間。
お部屋の名前にもなっている鏡は、もともとアフリカのとある寓話を想起させるように置かれたもの。旧ベルギー領のコンゴを髣髴とさせる部屋になっています。
壁は大理石と銅で重厚な装飾がほどこされています。
そして驚くのは、美しい緑色の秘密。
この緑のデコレーションは比較的最近、現代アーティストが手掛けたのもの(2002年)。
その鮮やかな緑色の正体は……
スカラベ!
なんと、150万匹のスカラベの羽が、天井とシャンデリアを覆っています。
近くで見ると、まぁ、これは大変です。
鏡の間は、部屋全体がアート作品とされていて、「歓喜のパラダイス」または「喜びの庭」というタイトルがついています。でも、どこがヨロコビなのか、さっぱりわかりません。
その下では、見学に訪れたファミリー向けに健康をテーマにした参加型の展示があり、何だかシュールです。
最後は静かにさようなら
見学の最後となるのは「正方形の間」、または「物思いに沈む人の間」と呼ばれるお部屋。
部屋の名前「物思いに沈む人」というのは、その名で呼ばれるミケランジェロの彫刻(ロレンツォ・ディ・メディチの霊廟)を模した時計があるためです。
時計のアレゴリーが暗喩するよう、お部屋はロイヤル・ファミリーに不幸があったときにチャペルとして使われています。
と、しんみりしたところで見学はおしまいとなりました。
週末ながら入場に待つこともなく、それほど混雑もなく、お城の門をくぐってから見学にかかった時間は2時間弱。子連れでゆっくり見ても、2時間くらいあれば余裕をもって見学できるステキな場所でした。
王様、ありがとうございました。
基本情報
ブリュッセル王宮 Palais Royal de Bruxelles
Palais Royal, Place des Palais, 1000 Bruxelles
Tel: +32 (0)2-551.20.20
URL: https://www.monarchie.be/fr/patrimoine/palais-royal-de-bruxelles
一般公開期間と入場時間
- 7月下旬~9月初旬のみの夏期限定
- 10:30~17:00(最終入場は15:45まで)
休館日
毎週月曜日
入場料
無料
アクセス
- 地下鉄: 2番線、6番線で Trone 駅下車。
- トラム: 92番、93番でRoyale 駅下車。
- バス: 38番、71番で Royale 駅下車。22番、27番、34番、38番、64番、80番、95番で Trone 駅下車。
注意事項
- 入口でセキュリティ・チェックあり。バックパックや大きなカバンは持ち込み不可。
- 写真撮影可。フラッシュや三脚の使用はは禁止。