ベルギー王立軍事歴史博物館( Musée royal de l’Armé et d’Histoire militaire )は、ブリュッセルにある世界一の軍事コレクションを誇る博物館です。
とにかくスケールの大きい博物館。4万㎡と広大な敷地には、中世の鎧、古今東西の武器や軍服、膨大な数の飛行機、大戦をテーマにした展示が並び、圧倒されるような数の貴重な所蔵品を通して人類の戦いの歴史を学ぶことができます。
マニアとしても、平和を享受している一人のラッキーな人間としても、大きな衝撃を受けること間違いなしのおすすめの博物館です。
子連れで見学してきたのでご紹介します。見どころいっぱいのため、写真は多め、記事も長めです。
さあ、行ってみましょー!
まずは見どころ
広大な敷地は10を超えるエリアに分かれ、とにかく足が棒になるほど見るものがたくさんあります。
そこで、まずは絶対おすすめの見どころをご紹介します。
ナポレオンと騎士と凱旋門
チケットを買うと、展示エリアへのアクセスが2か所あります。
いかにも「退役軍人!」というスタッフのおすすめに従って、まずはアーケード側から入場。数年前は無料だったようですが、現在は有料。チケットを自動ゲートにかざして入場します。
この入り口からは、
- 中世騎士のまばゆい鎧や剣
- ナポレオン時代の珠玉の軍事品
- 凱旋門頂からの絶景
を見ることができます。
ハイテクな入り口を過ぎると、騎士がお出迎え(武器と防具のエリア)。
まるで中世の騎士が並んでいるかのようなエレガントな甲冑にホレボレ。
これでもか、これでもかと、騎士、騎士、騎士。
そこから隠されるような通路を通って上階へ行くと、薄暗がりに冷たい銀色がひかる魔法のダンジョンが広がります。
しずかに一人座している監視員は、やはり退役軍人。この博物館ダンディ過ぎます。
ナポレオン時代の驚くほどレアな軍事品がこれでもかと集められたエリアが広がります。
さらに階段を上ると、軍の楽隊が使っていた希少かつ奇妙な楽器のコレクション。
そして、博物館の一部となっている凱旋門の上に到着!
これだけでも、もう入場料5€の価値を超えていますが、まだまだ序の口、続きます。
飛行機祭り
展示エリア名は「航空」。その名の通り、これでもかっ!というほど飛行機が展示されています。その数約170!
ツェペリン飛行船、今はなきサベナ・ベルギー航空の飛行機、MIG-21、Spitfireなど、世界中の飛行機が所狭しと並んでいます。
ホールの大きさも博物館という概念を覆すようなスケール(170m x 70m)の大きさです。
飛行機と一緒に臨場感あふれるマネキンが……
ここにも
あそこにも……
気になりだすと、飛行機よりマネキンに目が行ってしまう……。
2つの大戦
ここまでの展示に比べて、かなり重かったのが20世紀の大戦をテーマにした2つのエリア。
第1次大戦をテーマにした広大なホールには、世界最多のコレクションが並びます。この大戦で初めて登場したという戦車も手で触れることができます。
大きな鉄製の重火器がゴロゴロと置かれ、あらためて子どもと見ているのが美術館の中で本当によかったと、複雑な気持ちになります。
世界のさまざまな軍服。
日本も。
第2次大戦のホールはさらに重い気分になります。
窒息しそうな気分になる塹壕やトーチかの再現があったり、
ナチス、ファシズム、スターリニズムと全体主義政府をテーマにした展示があったりと、とにかく濃厚。
悲惨な戦争の展示でもあるので、幼い子ども連れの場合は避けた方がいいエリアと言えます。
大人だけなら、じっくり見るべきエリアです。
展示エリア一覧
上記のおすすめエリア以外も、まだまだ見どころいっぱいの博物館。
すべてのエリアをじっくり見てほしい!ということで、展示ホールの一覧です。
博物館は、次のようにテーマ別に区分けされています。
- 武器と防具
- ナポレオン時代
- 飛行機
- 第1次世界大戦
- 第2次世界大戦
- ロシア
- 海軍
- 装甲車両
- 近代の武器
- 19~20世紀のベルギー
- 南極
以下、簡単にエリアの説明です。
武器と防具
中世から18世紀までの武器や郷部の展示です。騎士が使っていた鎧や剣などの武具のほか、狩りで使われた精密な銃器なども展示されています。
ナポレオン時代
18、19世紀フランスの貴重なコレクション。優美な輝きを放つ刀剣、銃器、軍服などが並びます。同時代の軍が使っていた珍し楽器のコレクションも博物館の目玉。
飛行機
巨大なホールに170を超える飛行機が展示されています。飛行機ファンはもちろん、子どもも大喜びのエリアです。
ホール中ほどにカフェがあるので、飛行機を眺めながら休憩もできます。
第1次世界大戦
大きな広い展示エリアに、第1次世界大戦をテーマにした世界最多のコレクション(重火器や軍服など)が並んでいます。
第2次世界大戦
大戦をテーマに、戦時中の町や戦場の再現、全体主義政府の軍服などが並んでいます。
幼い子ども連れの場合は避けた方がいいエリア。大人だけならじっくり見るべき展示。
ロシア
貴重な帝政ロシアの軍事コレクション。ニコライ1世などツァーリの軍服や、53kgもある銀製の豪華なパンチボールなど、お宝がいっぱい。
海軍
ベルギー海軍のコレクションが並びます。
いろいろなロープの結び方なども展示されています。
装甲車両
戦車などが屋外に展示されています。野ざらしです。
近代の武器
ベルギー軍が19世紀に使用したすべての銃を展示。産業革命以降に生産された武器を見ながら、技術進化を目の当たりにできます。
19~20世紀のベルギー
1831年から1914年にかけてのベルギー産の武器が8000点以上並びます。ベルギー軍の頂点でもあった、国王レオポルド1世やレオポルド2世にまつわる遺物も展示。
このエリアは軍事歴史博物館の中で一番古く(1920年代に設置)、19世紀の博物館の姿をとどめているという意味でも文化的に興味深い場所です。
南極
ベルギーの南極探査船ベルジカや、南極基地プリンセス・エリザベスなどをテーマとした展示。
ベルギー王国の南極基地をめぐる昨今のスキャンダルもあり、今後どのように扱われるのか気になるところです。
王立軍事歴史博物館の基本情報
王立軍事歴史博物館の基本情報
Musée royal de l’Armé et d’Histoire militaire
Parc du Cinquantenaire 3, 1000 Bruxelles
Tel: +32 (0)2 737 78 33
Fax: +32 (0)2 737 78 02
e-mail : infocom@klm-mra.be
サンカントネール公園にある凱旋門の西翼にあります(凱旋門を挟んだ逆側には、サンカントネール博物館とオートワールドが隣接)。
開館時間
火~日曜日: 9 :00~17 :00
チケット売り場とカフェテリアは16:00にクローズ。
ショップは12:00~13:00に昼休憩、16:30閉店。
休館日
毎週月曜日、1月1日、5月1日、11月1日、12月25日、選挙投票日
料金
- 26~65歳: 5€
- 25歳以下と65歳以上: 4€
- 6歳未満の子ども、ベルギー軍人(退役軍人含む): 無料
支払いはデビットカードかクレジットカードのみ。
毎月第1水曜日の13時以降は入場料無料。ねらい目です。
アクセス
- トラム: 61番か81番で Merode 駅下車。
- バス: 22番、27番、80番で merode 駅下車。または、12番、21番、22番、36番、60番、79番で Schuman 駅下車。
- メトロ: 1号線か5号線のMerode か Schuman 駅で下車。
博物館内の設備
- ロッカー(無料)
- カフェ
- ショップ
- 資料室(利用は要事前予約)
日曜日のお昼に訪問。見学者は少なくありませんでしたが、敷地が広いのでゆっくり見ることができます。