今や多くの国で祝われているクリスマスですが、お祝いの仕方は地域によって千差万別。このページでは、イギリスのクリスマスを語るうえで必要不可欠なミンスパイ( mince pie )ついてご紹介します。これを読んだらちょっとしたイギリス通を気取れるかも!?
さあ、ミンスパイに思いをはせながら、クリスマス気分を盛り上げましょう~!
こちらのページで紹介するのは、以下の内容です。ミンスパイの作り方と食べ方については、「ミンスパイのレシピと作法」で紹介しています。
イギリスを代表するお菓子「ミンスパイ」とは
ミンスパイ( mince pie )は、イギリスのクリスマス・シーズンに欠かせない甘いお菓子。文学作品にも登場する風物詩で、お雑煮と言えばお正月なのと同じように、ミンスパイと言えばクリスマス。イギリスでミンスパイの無いクリスマスなんて日本でソバのない大みそかのようなもので、欠ければクリスマスの情緒もイギリス人のテンションもガクーッと下がってしまいます。
ミンスパイは小さな円形のパイやタルトで、中にスパイスの効いたドライ・フルーツやナッツが詰まっています。手のひらサイズの小さなパイですが、イギリス料理を象徴するようなパンチの効いた味と重さは格別です。
クリスマスが近づくと、イギリス中のお店に「これでもか!」というほど色々なミンスパイが並ぶほか、ホームメイドのパイを作る家庭も少なくありません。このシーズンのパーティーや会食にも必ず登場します。
現地のご婦人方に「この時期の特別のお菓子よ~」と差し出されて、冬は子供たちもミンスパイを食べる機会がだいぶ増えます。アルコールが入っていることがあるので親が気を付けてあげる必要があります。また、カロリー高め&動物性脂肪を含んでいるので、食べ過ぎは禁物です。
ミンスパイの起源と歴史
十字軍が13世紀ごろに中東から持ち帰ったパイ料理がミンスパイの起源である、との説が有力です。当時の中東では肉と果物をスパイスと一緒に料理したレシピが普及していたため、ミンスパイのもととなったパイ料理にも肉、果物、スパイスが詰められていたようです。
イギリスに伝播した初期のミンスパイは、「マトンパイ」や「クリスマスパイ」などの名でも呼ばれていました。形は大きな楕円。パイの中には数種類のひき肉、牛や羊からとれる動物性油脂、レーズンやナツメヤシなどのドライ・フルーツ、シナモン、クローブ、ナツメグといったスパイスが入っていて、現代のミンスパイとは異なるものでした。
大いに人気の出たミンスパイでしたが、ピューリタン革命の頃に発売が禁止されます。クリスマスに食べるのはカトリックの習慣であるとみなされたのです。しかし、ヴィクトリア朝の時代にリバイバル。形は小さな円形となり、パイの中身からは肉がなくなります。フルーツとスパイスの詰まったミンスパイはクリスマス・シーズンに食べる12月のお菓子として定着し、現在もその風習が続いています。
ミンスミート( mincemeat )とは?
ミンスパイの中身のことです。現代イギリスでは、ドライフルーツとスパイスの入った出来合のミンスミートを手軽に買うことができます。単語の一部に「ミート」とあるのは、ミンスパイに挽き肉を入れていた昔の名残。現代のレシピではお肉は入れません。ミンスミートの作り方は、こちらから。
ミンスパイの民間伝承
クリスマスとミンスパイは切っても切れない関係。ミンスパイにまつわる民間伝承も色々あります。
サンタさんも好きなミンスパイ
ミンスパイはサンタ・クロース(ファーザー・クリスマス)の大好物。多くの家庭では、暖炉の前にミンスパイをのせたお皿やお酒(ブランデーなど)をイブの夜に用意しておきます。プレゼントを持ってやって来るサンタさんをもてなす風習です。
パイ生地は時計回りで
家庭で手作りのミンスパイを作るときの風習。パイ生地を作るときに、生地は必ず時計回りに練っていきます。左に回しながら練ると、翌年は悪運を呼び寄せてしまうとか。
年末のイギリスでよく目にして口にするミンスパイについてのアレコレ、楽しんでいただけたでしょうか?
さあ、ミンスパイについての知識が増えたところで、次は実際に味わってみましょう!こちら「ミンスパイのレシピと作法」のページで、食べ方と作り方をご紹介します。