ヨーロッパの食卓 文化

アマトリチャーナ Gli spaghetti all'amatriciana

先日の地震で甚大な被害をこうむった中部イタリアでは、尊い人々の命や数多くの有形文化財が失われました。しかし、その渦中にあっても地域の人々が継承してきた無形の文化は、失われることなく生き続けています。

このページでは、イタリア中部地震に襲われた各地の町が生み育んできた数多くの素晴らしい文化に敬意を表して、最大の被災地アマトリーチェ発祥の食文化の1つ、「スパゲッティ・アマトリチャーナ」という料理についてご紹介したいと思います。

 

地震とアマトリーチェのパスタ

アマトリーチェ(Amatrice)はラッツィオとアブルッツォの州境にある町です。アマトリーチェの町は、スパゲッティ・アマトリチャーナ(gli spaghetti all'amatriciana)というイタリアを代表する伝統的なレシピの発祥地であるため、小さいながらもとても有名です。毎年8月末には、有名なスパゲッティ・アマトリチャーナのお祭りも開かれ、大勢の人がアマトリーチェを訪れます。

先日の地震の直後に、イタリアでは「Un'Amatriciana per Amatrice(アマトリチャーナを食べて、アマトリーチェと被災地を支援しよう)」というキャンペーンが始まりました。あっという間に大きな賛同を得て、世界中にこの支援活動の輪が広がっています。キャンペーンの内容は、賛同するレストランでアマトリチャーナのパスタを食べると、お店と客の双方の会計の一部が寄付金となって被災地へ送られるというものです。

アマトリチャーナは日本ではそれほど耳にしないメニューなので、このページの最後にレシピを紹介することにしましたが、どうかお家で作るだけでなく、この支援キャンぺーンに賛同しているイタリアン・レストランへもぜひ足を運んでいただき、アマトリチャーナを食べていただければと思います。

イタリアを代表するパスタ料理、アマトリチャーナ

地方によっては「ラッマトリチャーナ」や「マトリチャーナ」とも呼ばれるパスタ料理で、イタリア中で愛されているメニューです。材料はグァンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)、ペコリーノ・ロマーノ(羊の乳から作ったハードチーズ)、スパゲッティ、トマトソースとシンプルながら、本当に美味しい一品です。

元来のレシピはトマトソースを入れず、スパゲッティ、グァンチャーレ、ペコリーノ・ロマーノだけで作られた白いパスタ料理だったと言われています。こんなに美味しいパスタ料理ですが、昔は「貧乏な羊飼いが食べるもの」とされていたようで、なんとも驚きですね。

現在はイタリアでレストランに行くと、スパゲッティではなく、ブカティーニと呼ばれる太めで穴の開いた長いパスタのアマトリチャーナ(i bucatini all’amatriciana)など、スパゲッティ以外のパスタで供されることが多々あります。これはレシピがローマの郷土料理の影響を受けたためと言われていますが、元祖アマトリチャーナはスパゲッティで作らなくてはいけません!論より証拠、発祥地アマトリーチェの町の入り口には、「スパゲッティの町、アマトリーチェ」の文字がしっかりと刻まれています。

スパゲッティ・アマトリチャーナの作り方

材料(大盛り2人分、軽め4人分)

  • スパゲッティ 320g
  • 赤唐辛子(できれば生)お好みで。目安として1~2コほど
  • エクストラバージン・オリーブオイル 大さじ1
  • ペコリーノ・ロマーノ(風味が好みでない場合などは、パルミジャーノ・レッジャーノかグラーナ・パダーノで代用可) 70~80g
  • ブロックベーコン (本来はブタの頬肉の塩漬けguacialeを使用) 100g
  • トマトソース 350g
  • 白ワイン 50cc
  • 塩、黒コショウ  適量

注意)使用するベーコンとチーズの種類で塩分が変わってくるので、味をみて塩分が足りない場合は塩を足します。

作り方

  1. 赤唐辛子を極細の千切りにする。
  2. ベーコンに皮がついている場合は、切って取り除く。ベーコンを5cmくらいの厚さの細切りにする。長さは3~5cmくらいを目安に。
  3. フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、細切りにしたベーコンを加えて、まんべんなく混ぜながら炒める。
  4. ベーコンの脂身が透明になったら、白ワインを加える。
  5. 白ワインが蒸発し始めたら、赤唐辛子を加える。
  6. 白ワインが煮詰まったら、フライパンを火からおろす。
  7. ベーコンをフライパンから取り出して別の器に移し、冷めないようにしておく。フライパンから取り出すときに、ベーコンには余分な油や水分がつかないようにする。
  8. ベーコンを取り出したフライパンにトマトソースを入れて加熱する。フライパンに残ったベーコンの旨みとトマトソースがよく混ざるようにする。
  9. スパゲッティを茹でるため、大きな鍋にたっぷり水を入れて加熱する。
  10. 沸騰したら塩を加え、再び沸騰したらパスタを入れて茹でる。
  11. パスタがアルデンテに茹だったら、火を止めてザルにあげる。
  12. トマトソースの入ったフライパンに、スパゲッティと取り分けておいたベーコンを加える。
  13. フライパンに入った材料をよく混ぜ、味が全体によくなじむようにする。
  14. ペコリーノ・チーズをパスタの上でおろしがけし、黒コショウを挽く。
  15. お皿に盛って、できあがり。Buon appetito!

 

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