サン・ニコラ祭は、ベネルクス三国、フランスやイタリアの北部、スイス、オーストリア、ギリシアなどヨーロッパの国々で12月に祝われるクリスマスのようなお祭り。ベルギーでも盛大にお祝いします。
子供が主役のサン・ニコラ祭。日本ではまだ馴染みの薄いイベントですが、ハロウィンのように消費文化の波に乗って普及する日も近いかもしれません!
こちらのページでは、ベルギーのサン・ニコラ祭についてご紹介します。
サン・ニコラ祭は何を祝うのか?
お祭り名に冠している名前「サン・ニコラ Saint Nicolas」は、「ミラの聖ニコラオス」と呼ばれる聖人のフランス語読み。その名の通り、サン・ニコラ祭はもともと聖ニコラオスの命日を祝うお祭りです。
多くの国では12月6日やその前夜に祝いますが、お祝いの仕方は地域によってさまざま。共通しているのは、聖ニコラオスが子供たちにプレゼントやお菓子を持ってくるという点です。
ちなみに、イタリアで5月に祝うサン・ニコラ祭 Festa di San Nicola はちょっと趣旨がことなります。こちらは、プーリア州の町バーリに聖ニコラオスの聖遺物が到着した日を祝うお祭りです。
お祭りのシンボル、聖ニコラオスとは?
聖ニコラオスは、3~4世紀に実在した東ローマ帝国の都市ミラの司教です。徳の厚い司教ニコラオスは子供から大人まで多くの人に慕われていました。そして、数多くの奇跡を起こし聖人「聖ニコラオス」となっています。
聖ニコラオスの呼び方は、サン・ニコラ(フランス語 Saint Nicolas やイタリア語 San Nicola )、シンタクラース(オランダ語 Sinterklaas )、サン・ニコラス(英語 Saint Nicholas )など、言語ごとに変わります。
オランダのシンタクラースは、アメリカに渡ってサンタクロースの原型になったと言われています。
サン・ニコラ祭の祝い方
ベルギーではお祭り前夜にサン・ニコラが家にやってきます。12月5日の夜になると、子供たちはブーツを暖炉や玄関の戸口に置いて眠りにつきます。寝ている間にサン・ニコラがやってきて、いい子のブーツにお菓子やプレゼントを置いて行ってくれるのです。
暖炉の前には、サン・ニコラにお酒を注いだグラスを、お伴のロバに水やニンジンを置いておくこともあります。翌朝子供たちは空になったグラスやかじられた痕のあるニンジン、つまり、サン・ニコラが来た証拠を見つけるという具合です。
10月下旬ごろからは、サン・ニコラや名前のイニシャルを型取ったチョコレート、スペキュロスとよばれるシナモンのきいたビスケットなど、サン・ニコラ祭に因んだお菓子が町のお店にずらりと並びます。この時期にベルギーに滞在するなら、サン・ニコラの可愛いお菓子はお土産としても最高です。
サン・ニコラがやってくる
12月6日が近づくと、ベルギー各地に聖二コラオスが出現。ブリュッセルの港には、お隣オランダのように船に乗ってサン・ニコラがやってきます。また、サン・ニコラは学校や幼稚園を訪れたり、コミューンとよばれる区が主催するイベントに現れたりします。
サン・ニコラは赤いマント、赤い帽子、大きな杖をもった司教の姿で、顔には白く長いヒゲを蓄えています。フランス語圏のサン・ニコラは、お伴にロバや黒い肌をしたペール・フエター(ツヴァルテ・ピート)という従者を連れています。
黒い肌をした従者のピートは、近年人種問題として取り上げられることもあります。しかし、植民地時代の奴隷の名残である、煙突の煤が顔についている、などその由来には諸説あり、黒い肌の起源ははっきりとしていません。
クリスマスだってちゃんとお祝い
優しい聖人サン・ニコラはベルギーの子供たちに嬉しいプレゼントを持ってきてくれますが、その数週間後のクリスマスにはちゃんとサンタクロースもやってきます。
サンタクロースは、もともとはオランダのサン・ニコラであるシンタクラースから生まれたと言われていますが、現代では別物としてお祝いされているわけです。サン・ニコラの分身の術、といったところでしょうか。
なにはともあれ、12月は多くの子供たちにとって楽しいイベントいっぱいの季節。たくさんの子供たちに、ニコニコの笑顔が溢れますように!