カルタ―ブルはフランスやベルギーの学生のシンボルともいえる通学バッグ。毎日子供たちが背負うこのカルタ―ブルは驚くほどの重量があり、現地では大きな社会問題になっています。
このページでは、ヘビーな通学カバンから子供を守るために活発に続けられている議論や研究をご紹介します。
*背中に負担をかけないカルタ―ブル選びのポイントは、こちらから。
なぜカルタ―ブルは重いのか?
フランスやベルギーの学校では、学用品を学校に置いておくことができません。そのため、子供たちは時間割に応じて毎日必要なすべての教科書や学用品を持って登校せねばならず、カルタ―ブルがとても重くなるのです。
また、教科書やプリントを保存するバインダーなど、ヨーロッパの学用品はそれ自体が重めにできていることも事実です。高品質で軽量な学用品や上下巻に分かれている教科書など、日本ならではの工夫は見習うべき点と言えそうです。
どのくらカルタ―ブルは重いのか?
フランスやベルギーで行われた過去の調査によると、小学校6年生の持つカルタ―ブルの平均の重さは、フランスで体重の20%ほど。さらに重い結果となったベルギーでは子供の体重の27~36%にも上り、体重60kg の大人で考えると16.2~21.6kg もの荷物を毎日背負っていることになります!
ベルギーやフランスでは、脊柱側弯症となる子供(特に青年期の子供)が多いのも、カルタ―ブルのあまりの重さが原因といわれています。さまざまなリサーチが続けられ、現在カルタ―ブルは子供の体重の10%を超えない重さとなるよう推奨されています。
軽いカルタ―ブルのために
子供たちの通学カバンを軽くするために、公私さまざまな機関を巻き込んで多様な対策が講じられています。以下、ごく一部の例ですがフランスやベルギーでのキャンペーンを紹介します。
フランスのデジタル教材
カルタ―ブルの重量削減を目的として登場したのが電子カルタ―ブル。
教科書や問題集などの教材をデジタルベース(サーバー、CD-ROM、USBドライブ)に保存したもので、成功すれば子供の荷物を50%ほど軽くすることができると期待されています。
すでにいくつかのパイロット校で試験的に運用されていますが、教材をデジタル化するコスト、学生や親がデジタル教材を使いこなせるように訓練するコストなど、実現に向けて解決すべき問題があるようです。
ベルギーのキャンペーン
ベルギーでは、"mon cartable poids plume (羽のように軽い私のカルタ―ブル)"というキャンペーンが展開されています。
キャンペーンでは、シンプルな3つのルールで子供たちの背中へ負担を減らすよう呼び掛けています。
- 毎日授業で必要なものをチェックして、余計な荷物を減らす。
- カバンの中を整理して、荷物が偏らないようにする。重いものは背中に近い方へ入れる。
- ストラップを調節して、カバンが背中にぴったりつくようにする。
子供が健やかに育っていけるよう、私も娘のカルタ―ブルをしっかりチェックしています。幼稚園児なのでまだ重さの心配はありませんが、「ステキなのよぉ」と大切に拾ってくるシワクチャの葉っぱや、「隕石よぉぉ」と拾ってくる黒っぽい石など、不思議なオブジェを定期的にカバンから取り出しています。
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