クリスマスが終わり、いよいよ暮れも押し詰まりました。日本の町並みは洋風から和風にガラッと衣装替え。年神さまを迎える雰囲気がいっぱいになるこの時期が、私は大好きです。
ヨーロッパの町では、歳末にこのように町の雰囲気が一変することはありません。クリスマスの飾りは新年もそのまま。放置されているように飾られ続けている背景には、エピファニー( epiphany )と呼ばれるキリスト教のお祭りが関係しています。
この記事では、エピファニーのお祭りについてご紹介したいと思います。
ヨーロッパのクリスマスデコ
フランス、イギリス、イタリアなどヨーロッパ諸国の町々では、クリスマスの1か月ほど前からイルミネーションやデコレーションの飾りつけが始まります。クリスマス・マーケットもこの時期の風物詩で、12月になると町の雰囲気はぐっと冬休みモードになります。
クリスチャンでもない日本人の私にはとても不思議だったのですが、この飾りはクリスマスが過ぎてもすぐには外されず、年が明けてからも1週間ほど飾られているのが一般的。飾りが外されるクリスマス気分最後の日には、エピファニーと呼ばれるキリスト教の祭日が深く関わっています。
クリスマスのお祝いは新年にまたがっている
エピファニーは1月6日のキリスト教のお祭り。日本では公現祭、顕現祭、主顕節などと呼ばれ、クリスマスの12日後に当たることから英語では Twelfth Day とも呼ばれています。
カトリックを始めとする西方教会の暦(典礼暦)では、クリスマスからエピファニー後の最初の日曜日までをクリスマス期間としています。つまり、この期間は日本の松の内のような期間となるのでクリスマスの飾りも外されずにいる、というわけです。
具体的に2016~2017年の場合は、
- 12月25日 クリスマス(イエスの生誕)
- 1月6日 エピファニー(イエスの顕現)
- 1月8日 イエスの洗礼
となり、12月25日から1月8日までがクリスマス期間となっています。
エピファニーは何を祝う日か?
エピファニーは、キリスト教で神さまがイエス・キリストの姿で人々の前に現れたことを祝う祭日です。
3世紀ごろの東方ではエピファニーをイエス・キリストの出現を祝う祭日とし、東方の三博士のイエス訪問、イエスの洗礼、イエスの最初の奇跡を祝っていました。
現在は、カトリックやプロテスタントなどの西方教会では主に東方の三博士が幼いイエスを訪れて祝福を与えたことを祝う日、ギリシア正教会などの東方教会ではイエスの洗礼を祝う日としています。
エピファニーの語源と色々な意味
英語の Epiphany 、フランス語の Épiphanie 、イタリア語の Epifaniaなど「エピファニー」を意味する単語は、いずれも古代ギリシア語の動詞から派生した ἐπιφάνεια ( epifanèia ) という名詞から生まれています。
この名詞にはもともと「出現」という意味がありました。キリスト教では神さまの存在が人々の眼前に明らかになる現象を指すようになり、そこから派生して、普段目に見えない真理などが明らかになることも意味するようになりました。
また、アイルランドの文人ジェームス・ジョイスは魂が揺さぶられるような生に満ちた瞬間をエピファニーと呼び、エピファニーは20世紀文学の重要なテーマにもなっています。このテーマは、イタリアの大学で感銘を受けた授業の主題の1つなので、ぜひ別の記事でまた取り上げたいと思います。
いよいよ今年も残りわずか。クリスマスデコがある地でも無い地でも、どうぞ皆さんよいお年をお迎えください。