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海外の預け保育事情。ベルギー幼稚園の延長保育「ギャルドリー」

ベルギーの公立幼稚園には「預かり保育」のような放課後の保育制度が広く普及しています。日本の市や区にあたる地方自治体の援助を受ける公立の延長保育で、現地では「ギャルドリー」と呼ばれています。

私の娘も大多数のクラスメートに倣って、この9月から週に何度かギャルドリーを利用することになりました。家族も親戚も長年の友人もいない土地で子育てする身としては、とても助かるシステムです。

預かり保育のニーズが高まっている中、海外で普及している延長保育システムの一例として、ぜひみなさんとベルギーの預かり保育事情をシェアしたいと思います。

子育てをしているお父さんやお母さんの負担が減ることを祈りつつ、さあ、まいりましょう。

この記事で「ベルギーの公立幼稚園」としているのは、ブリュッセルにあるフランス語共同体の基礎自治体が運営する公立幼稚園を指します。

幼稚園と預け保育「ギャルドリー」

ギャルドリー( garderie )は、フランス語で託児所や保育所のこと。小学生以上を対象とした学童保育や、未就学児を対象とした幼稚園の預かり保育のことを指します。

ベルギーの子供たちは、2歳半から公立幼稚園に入れます。そして、幼稚園に通う子供たちは、園の敷地内で行われているギャルドリーという公立の預かり保育を利用することができます*

つまり、働いている親は、子供が幼稚園で過ごす「教育時間」の前後も、子供を幼稚園内に預けることができるようなシステムになっています。

通常子供が幼稚園で過ごす時間は、だいたい朝8:30~夕方15:00(水曜日は正午まで)。親が子供と離れて過ごす時間は6時間半です(水曜日は約3時間半)。

この前後にギャルドリーを入れると、子供は最長で朝7 :00から夕方18 :30までの時間を園内で過ごすことができます。つまり、親は子供と離れた時間を最長で11時間半も確保できるような体制になっているのです。

いわゆる「定時」の勤務であれば、親は子供を幼稚園へお見送りをしてから出勤し、終業後にお迎えに行くということが可能となり、通勤時間を考慮しても子供の通園に支障がでないことになります。

*より正確には、ベルギーの公立幼稚園は小学校の敷地内にあります。そのため、そこにあるギャルドリーは、2歳半~12歳の子供(幼稚園児と小学生)を保育する施設となっています。

 

ギャルドリーの利点

公立ギャルドリーは、幼い子供を育てながら親が仕事や勉強を両立できるような支援システムになっています。そのメリットは単に労働時間の確保をしてくれるだけでなく、次のような利点が挙げられます。

2歳半から預かってくれる

預かり保育は、小学校以下の子供を預かってくれます。

ベルギーの幼稚園は2歳半から入れるので、ギャルドリーも2歳半から利用できます。

以前住んでいたロンドンでは、未就学児の延長保育には私立の施設を利用するのが一般的でした(私立保育園、私宅で子供を預かる保育士など)。そのため、高いお金を払って私立の保育園に預けざるを得ないような状況でしたが、ベルギーでは未就学児も公的補助のある延長保育を利用することができます。

驚くほど安い

ギャルドリーの運営には、日本の市や区にあたる地方自治体(コミューン)からの経済的援助が出ています。

娘の幼稚園の場合は、1か月の利用料が25€(約3250円**)。1か月を4週間として計算すると、幼稚園前後の学童保育を最大で100時間以上利用することができます。

日本の学童保育に近い料金かもしれませんが、大きな違いは預かってもらうのが未就学児である、という点です。その保育代が100時間あたり3000円**ぽっちというのは破格に思えるのですが、細かい話しをすると、実際の保育代はさらに安い計算になります。

というのも、25€のうち17€は、ギャルドリーを利用しなくても支払う「お昼の保育代」にあたるため。

ベルギーの公立幼稚園では、お昼ごはんの時間は担任の先生もお昼休憩を取ります。そのため、子供たちはお昼ごはんの時間をギャルドリーのスタッフと過ごします。17€はその保育代にあたるので、幼稚園の前後に子供を学童に預けなくても支払う費用なのです。

つまり、延長保育にあたる部分金額は、実質8€1240円**)。1か月20日の登園するとするなら、1日あたり50円程度の保育費ということになります。

**レートはいずれも2017年9月5日現在のものを参考に、1€=130円で計算しています。

園内で保育

小学生を対象とした場合、学童の施設は学外にあることが少なくありません。

またもやイギリス生活との比較になりますが、ロンドンの公立幼稚園で学童を利用する子供たちは、近所の私立保育園まで歩いて移動をしていました。

プロに任せているとはいえ、車通りの多い道を通っての移動は心配。一般道を移動するのが小学生に満たない幼い子供たちならば、その心配はなおさら大きくなります。

その点、ブリュッセルの場合は、車も外部者もいない園内の移動のみ。親が付き添う必要もなく、安全上のリスクも最小限なので余計な心配がありません。

また、同じ敷地にあるため、学童と幼稚園の連携が密でスムーズ。その環境も、親としてはとても安心です。

ギャルドリーを利用できる条件

娘の幼稚園の場合、ギャルドリーの利用希望者が多いため、規則では仕事や勉強をしている親のみが子供を預けられることになっています。

しかし、仕事がフルタイムだから優先的に子供を預かってもらえるわけではありません。保育を依頼する理由がアルバイトでも、勉強でも、職業訓練でも、等しく預かってもらえます

利用日数は自由に決められます。会社勤めの親が定期的に毎日預けることもできれば、フリーランスの親が急な仕事で臨時的に数日だけ預けることもできます。

まとめ

以上、ベルギーの預け保育、ギャルドリーについてでした。

家でたっぷり愛情をかけて子供を育て、家庭の外でも子供を育ててもらう。それは、決して矛盾することではなく、他人に子育てを丸投げすることとも違うと思います。

ギャルドリーは、パパやママが親としても1人の人間としても生きていくことを支援し、子供が安心して成長していける環境を提供してくれているように思えます。

子育て支援が国や地方自治体の政策として注目されている中、海の向こうの情報も何かの役に立つかもしれないと思い、みなさんとシェアしました。

世界のいろいろな場所で、子供たちが安心して育っていける環境がもっともっと整っていきますように。

おしまい

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