外国語はお好きですか?ここベルギーには、公用語が3つあります。外国語が好きでも嫌いでも、母語以外のことばを目にする機会に溢れています。
日本人の私にとっては驚くことがいっぱい。そして、毎日の生活では面倒なこともいっぱいです。
そんなベルギーの首都ブリュッセルでの多言語な日常を、普段着レベルの視点でご紹介したいと思います。
ベルギーの3つの公用語
まずは、簡単にベルギー王国のことば事情を見てみましょう。
ベルギーには3つの公用語があります。
- オランダ語
- フランス語
- ドイツ語
国の半分を南北に分けるように、地域で話す言葉が異なります。
- オランダに近い北半分=オランダ語圏
- フランスに近い南半分=フランス語圏
- ドイツに隣接するフランス語圏のごく一部=ドイツ語圏
と地理的に言語テリトリーが分かれています。
その中で、首都ブリュッセルはとても特殊な言語環境になっています。
ブリュッセルの言語表記
ブリュッセルは地理的にはオランダ語圏にありながら、言語的にはフランス語をしゃべる人が大多数(80%以上)という飛び地のような場所。現在は、フランス語とオランダ語を併用の2言語地域となっています。
さらに、ブリュッセルは欧州議会やNATOなどの国際機関が多く外国人がいっぱい。現地で働く外国人や観光客のために、ブリュッセルの中心地では公共の場で英語が使われていることも珍しくありません。
つまり、ブリュッセルには複数の言語表記がいたるところに溢れているという、どうにもにぎやかなことになっています。
多言語に囲まれる生活
多言語政策はたくさんの文化を尊重するという意味ですばらしいことですが、日常レベルでは面倒なことがいっぱいあります。
その中でも、多言語表記に慣れるのは至難の業。
「百聞は一見にしかず」ということで、画像いっぱいで見ていきましょう!
どこを読もうか、探してみよう
まずは、こちらをご覧ください。
インスタント焼きそばの作り方です。
所狭しと並ぶ、仏・蘭・独の3か国語による説明書き。自分の読むべき言語を探すだけで、「インスタント」の概念が揺らぎそうな勢いです。
髪の毛を洗おうとしても、この通り。
文字の洪水。
家電だって負けていません。
今日はどっちの言葉を読もうかしらと、毎日のお洗濯が楽しみになります。
そして、一見フツーの広告やパンフレットも……
開いてびっくりのバイリンガル構成。
表紙がフランス語、裏表紙がオランダ語になっていて、冊子の真ん中がそれぞれの「おしまい」になっています。
そして、お外に出ても気が抜けません。
どっちを読むか迷っている間に、後ろから追突されてしまいそうです。
行き先はどこだっけ?
他のヨーロッパの国と同じく、ベルギーでは道や広場の名前が住所の一部になります。
普通は1つの場所に1つの地名がありますが、ブリュッセルでは1つの場所に2つの名前がついています。
例えば、ブリュッセル市内にある博物館「アル門」の住所は、
- オランダ語: 150 Zuidlaan
- フランス語: 150 Boulevard du Midi
と、表記する言語によって驚くほど違う形になります。
住所も建物も2か国語表記。日本語設定の機器で地図を広げると、モニュメント表示だけでもずいぶんとガヤガヤしています。
さらに混乱するのが、バスやトラムなどの公共交通機関。
ベルギー観光の鉄板広場「グラン・プラス」行きのバスに乗ろうとすると、「Grand-Place」行きではなく「Grote Markt」行きのバスが停車しています。
行き先が違うと思ったら、実は同じ場所の別言語表記だったりするわけです。
常に迫られる言語設定
ベルギーで何らかのサービスを利用しようとすると、まずは言語を設定!となることが普通です。
インターネット上も多言語満開。こちらはベルギー王室の公式ページですが、まずは言語を選択するところからサーフィンが始まります。
また、銀行で口座開設したりケータイの契約をしたりする場合、最初に必ず設定するのも言語。
そこで設定した言語で、お知らせのメールが届いたり、オンライン取引の案内がされたりします。
同じ銀行から、ご主人あてにはフランス語の手紙が届き、奥様あてには英語の手紙が届く、といった具合です。
まとめ
こんな状況なので、ちょっと面倒だけれど外国語レパートリーが増えるのでは?とも思えます。
しかし、そうは問屋が卸してくれません。
自分の知らないオランダ語を秒速でスルーできる力だけが、毎日モリモリついています。
日本人にとってゆかりのある言語でもあり、少しは分かるようになりたいなぁと思う今日この頃です。
おしまい