私の娘はブリュッセルで幼稚園に通っていました。
日本の幼稚園と比べて大きく違う!と驚くことがたくさんあったので、ご紹介したいと思います。
ベルギーは公用語が3か国語(フランス語、オランダ語、ドイツ語)ありますが、娘のケースはフランス語の幼稚園。日本でいうところの市や国あたる地方自治体が運営している公立幼稚園になります。
さあ、行ってみましょう!
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ベルギーでは幼稚園が小学校の一部になっている
まず驚いたのが、幼稚園が小学校内にあるということ。ブリュッセルでは、ほとんどの幼稚園が物理的にもシステムとしても小学校の中に組み込まれています。
小学校は大きく2つに分かれます。
- 幼児部( section maternelle ):プレクラス、年少、年中、年長の4学年
- 初等部(une section primaire ):1~6年生の6学年(義務教育)
そして、実際の運営は次のように分けられています。
- 低学年(section petite ):幼稚園プレクラス~小学2年生までの6学年
- 高学年(section grande ):小学3~6年生までの4学年
娘の幼稚園は大規模なので、各部門を校長先生にあたる人がとりまとめ、校舎も2つに分かれています。
つまり、幼稚園生は小学校1、2年生のお兄さんやお姉さんと同じ校舎で学び、同じ食堂でお昼ごはんを食べ、同じ校庭で遊んでいます。
ベルギーでは幼稚園に保育所が組み込まれている
幼稚園、つまり小学校の敷地内にギャルドリーと呼ばれる保育所があります。
保育所は地方自治体からの補助を受けて運営されています。小学校とは経営こそ別ですが、実質的にその機能は小学校や幼稚園と一体化しています。
具体的には、
- 登園時間前に、子どもを保育所に預けられる
- 降園時間後に、子どもを保育所に預けられる
といったサービスを提供しています。
つまり、保育所をフルに活用すると、子どもの1日は次のようになります。
登園時間前: 親と幼稚園内の保育所へ行く
↓
登園時間:保育士と幼稚園のクラスに行く
↓
降園時間:保育士と保育所に行く
↓
降園時間後:親と幼稚園内の保育所から帰る
このすべてが園内(校内)1か所で行われているというのは、とても便利で安心です。
また、料金が驚きの低価格。1か月このサービスを利用して、親が負担する費用は月額で25€(3,000円未満)。安い。
ベルギーの公立幼稚園は制服がない
日本の幼稚園は制服が多いイメージだったので、単純に制服がないことに驚きました。
同じ外国、例えばイギリスの公立幼稚園でも制服がないところはありますが、学校指定のトレーナーやセーターを着る決まりになっていたり、学校のロゴが入ったカバンを持つようになっていたりします。
ベルギーの公立幼稚園は、制服が無いのはもちろん、登園のお帽子もなければ、登園バッグも自由。園児の外見だけでは、どこの幼稚園の子どもか見分けることはできません。
とはいえ、安全などに留意して最低限の服装ルールはあります(アクセサリーをつけない、など)。
揃える学用品が多い
文房具や、身の回りで使うものなど、かなりのものを新学期が始まる前に揃えます。担任の先生によって揃えるもののリストが変わる(つまりクラスごとに揃えるものが違う)のもお国柄です。
直近の持ち物リストで話題になったのは、特大サイズのスティックのり4本。どんな使い方をしているのか、かなり気になります。
ベルギーの幼稚園で必要な学用品については、こちらで紹介しています。
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ベルギーの幼稚園で必要な学用品
ブリュッセルの8月後半は、「新学期グッズ ...
先生がお昼に休憩をとる
各クラスを受け持つ担任の先生は、園児と一緒にごはんを食べません。お昼は先生も休憩するんです!
そのため、お昼の時間は先述の保育所スタッフが園児のケアをします。
逆に言えば、登園時間外に保育所を利用しない家庭でも、保育所に月々の支払いが発生するというわけです。
ちなみに、1か月の料金は17€。この17€に追加で8€払うと先ほどの25€となり、登園時間外にも保育所を利用することができます。
給食とお弁当が選べる
正確にはお昼ごはんのオプションとして3択が用意されています。
- 給食(repas chauds)
- お弁当(tartines)
- お家に帰って食べる
話しに聞けば、昔はお家に帰ってごはんを食べる子もそれなりにいたそうです。現在は共働き家庭が多いこともあり、ほとんどの子どもが給食かお弁当を選択しています。(ちなみに、家に帰って食べる場合は17€の保育代はかかりません)。
幼稚園側としては、ランチの方法を統一しないと手間だと思うのですが、これは個人の自由を配慮した結果。個々の信仰や信条に合わせた給食は用意されないので、ベジタリアンなどの家庭にはお弁当を持たせるというオプションがあるという具合です。
信仰の自由を認めるとともに、国内にいる一定数のイスラム教徒(豚肉を食べない)に配慮した折衷案とも言いかえることができます。
ちなみに、給食メニューに凝った名前が多いのも、私にとっては小さな驚きです。ご一興までに、直近のロマンチック・メニュー。
2月14日の「恋人たちのメニュー」
- 情熱の赤いポタージュ
- お魚のデュエット、オマールソースと太陽のお野菜添え
- 栗かぼちゃの煮込み
- キューピッドのデザート
パパの送り迎えが多い
日本と同じく、幼稚園の行き帰りは保護者が付き添います。
驚くのは、父親の割合の高さ!毎日すごい数のお見送り&お迎えパパを見かけます。
特に、降園時間となる15時20分。一般的にはフツーに勤務時間だと思うんですが、フツーにパパがたくさんお迎えに来ています。
トイレが大人用
これは、ロンドンの幼稚園とも違って驚きました。
娘の幼稚園でも、年少さんまでは子ども用の小さいトイレが各教室にあります。が、年中さんからは普通の大人用トイレ!
子ども用オプション便座なんてもちろんありません。
全体的にベルギーの便座は位置が若干高いので、幼稚園児にとっては文字通りよじ登る感じです。
2歳半から入園なれど……
年少の学年は3歳になる年の9月から入れます。その前の数か月、2歳半になってから入れるクラスがあります。
そして、入れる条件は「おむつがとれていること」!
結構ハードル高くないですか?私の娘は2歳半でもおむつが大好きでした。
ちなみに、2歳半はとっくに過ぎた年中さんも年長さんも、当然おむつが取れていないと入園できません!
学期の半ばのお休み
ベルギーの幼稚園は、現地の小学校や中学校などと同じように学期半ばにまとまったお休みがあります。
1週間単位でお休みになるので、共働き家庭にとっては悩みの種……と思いきや、その期間も園内の保育所がサービスを提供していることが多く、ベルギーでは大分楽に何とかなります。
また、保育所も閉まってしまうお休み期間(イースター、夏休みなど)には、「スタージュ」と呼ばれる民間の子ども用のプログラムがあちこちで開催されていて、プログラムに参加する形で子どもを一日中預けることができます。
スタージュを企画・運営するのは民間企業ですが、多くのプログラムには地方自治体が補助を出しているので、良心価格。1日8~9時間ほど預けて、1週間で1万円前後です。
以上です。
日本の幼稚園や保育園に比べて、毎日用意するものが少なかったりと、全般的に親の手間が少ないような気がします。
特に、幼稚園に時間外の保育も包括されているシステムは、とても便利で安心。日本でもこのようなラップアラウンドのサービスが公のシステムとして包括されていくと、嬉しい家庭は多いのではないかと思いました。