チョコレートと一口で言っても色も形もさまざま。
ブラック・チョコレート、ショコラ・ノワールなどなど、国によってチョコレートの名前や規格も色々と変わります。
おいしそうな名前につられてベルギーのブラック・チョコを奮発して買ってみたら、想像と違った味で大失敗。
私は、そんな失敗もいっぱいありました。
分かるような、分からないような、チョコレートの名前と味の関係を解明すべく、この記事では色をもとにチョコレートを分類したいと思います。基準とするのは、チョコ大国の集まるヨーロッパ連合の定義です*。
これであなたもチョコの達人。チョコレートを選ぶのも食べるのも、ますます楽しくなること間違いなし!です♪
この記事の分類は、すべてヨーロッパ連合の定める規定に基づいています。
EUR-Lex 公式サイト (2017年1月15日参照)
形で分類したチョコレートの種類については、「チョコレートの形でみる分類 ― どんな形のチョコがある?」の記事でご紹介しています。
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チョコレートの色、イロイロ
チョコレートの基本色は、大雑把に分けるとこげ茶、茶色、白の3つ。
これにヨーロッパの取り決めを照らしてみると、
- こげ茶 = チョコレート
- 茶色 = ミルク・チョコレート
- 白 = ホワイト・チョコレート
と、それぞれの色に3種類のチョコレートを割り当てることができます。
チョコレートの色の違いは原材料によるもの。つまり、チョコの色を見れば、おおまかにある程度の味を予想することができるというわけです。
英語・フランス語・イタリア語での名称も見ながら、3つ色のチョコレートについて見ていきましょう。
チョコレート(こげ茶のチョコ)
呼称
- chocolate (英)
- chocolat (仏)
- cioccolato (伊)
原材料
カカオ(カカオパウダーとカカオバター)、砂糖
ヨーロッパで「チョコレート」と呼ばれるものには、カカオが35%以上含まれなければなりません。その内、カカオバターは18%以上、カカオパウダーは14%含まれていなければなりません。
ちなみに……
「 high quality 」などの表示をつけて品質の高さを謳っている「チョコレート」は、カカオの量がさらに多め。
カカオパウダー43%以上、カカオバター26%以上と、含有率がぐっと高くなります。
「チョコレート」はミルク・チョコと別モノ
ヨーロッパの厳密な規定では、「チョコレート」は「ミルク・チョコレート」と異なって乳成分を含みません。
- ブラック・チョコレート
- ダーク・チョコレート
- プレーン・チョコレート
などの名称は、その区別を明確に強調しているチョコレート。
つまり、ヨーロッパで
- dark chocolate 、black chocolate、plain chocolate (英)
- chocolat noir 、chocolat fondant (仏)
- cioccolato fondente (伊)
と表記のあるものは、乳成分を含まないチョコレート(カカオ35%以上含有。内、カカオバター18%以上、カカオパウダー14%以上)ということになります。
苦いチョコレート
カカオの含有率が高い黒っぽいチョコレートの中には、苦みの強いビター・チョコレートもあります。
苦みの度合いはカカオがどのくらい使われているかによって変化。カカオ含有率が65~70%くらいを上回ってくると、お砂糖の量が減って苦みがぐっと増してきます(カカオ70%くらいのビターチョコは、主にお菓子作りや料理に使います)。
呼び方はいろいろありますが、呼称とカカオの量に厳密な相関関係はありません。例えば、上でご紹介したチョコレート表記
- dark chocolate 、black chocolate、plain chocolate (英)
- chocolat noir 、chocolat fondant (仏)
- cioccolato fondente (伊)
の中には、そのまま食べておいしい甘いチョコレートもあれば、製菓用の苦いチョコレートもあります。
呼び方に惑わされず、実際のカカオ含有量は原材料表記の欄でチェックしましょう。
その他、以下のような表記のものは、明確に苦いチョコレート。砂糖の含有量が低くなっています。
- bitter chocolate 、cooking chocolate 、 baking chocolate 、 unsweetened chocolate (英)
- chocolat amer(仏)
- cioccolato amaro (伊)
ミルク・チョコレート(茶色いチョコ)
呼称
- milk chocolate (英)
- chocolat au lait (仏)
- cioccolato al latte (伊)
原材料
カカオ(カカオパウダーとカカオバター)、砂糖、ミルク(または乳製品)
ヨーロッパの規定する「ミルク・チョコレート」は、
- カカオ25%以上(内、カカオパウダー2.5%以上)
- 粉乳14%以上(内、乳脂肪3.5%以上)
- カカオバターと乳脂肪の合計は25%以上
が含まれていなければなりません。
カカオを10%以上含めば「ミルク・チョコレート」と表示できるアメリカと比較すると、ヨーロッパのミルク・チョコは味わいが深いということになります。
ちなみに……
「 high quality 」などの表示をつけて品質の高さを謳っている「ミルク・チョコレート」は、カカオの量がさらに多め。
カカオ30%以上、粉乳18%以上、乳脂肪4.5%以上と、含有率がぐっと高くなります。
家庭用ミルク・チョコレート
ヨーロッパには、「家庭用ミルク・チョコレート 」と呼ばれる乳成分をより多く含むチョコレートがあります(カカオ20%以上、粉乳20%以上含有)。
「ミルク・チョコレート」に比べてカカオ成分が少ないため、値段も下がるお手軽なチョコです。
- family milk chocolate 、milk chocolate with high milk content (英)
- chocolat de ménage au lait (仏)
- cioccolato comune al latte (伊)
上記の呼称のように、本来は「ミルク・チョコレート」とは異なる表示をしなければなりません。
しかし、イギリス、アイルランド、マルタでは例外が認められています。
この3か国では、「 milk solids: ... % minimum 」と乳脂肪含有率を表示すれば「ミルク・チョコレート( milk chocolate )」のラベルを付けることができます。
つまり、ベルギーやスイスなどの「ミルク・チョコレート」に比べると、イギリスのミルク・チョコレートはかなりクリーミー(チョコの味が薄い)ということになります。
ホワイト・チョコレート(白いチョコ)
呼称
- white chocolate (英)
- chocolat blanc (仏)
- cioccolato bianco (伊)
原材料
カカオバター、ミルク(または乳製品)、砂糖
EU圏のホワイト・チョコレートには、
- カカオバターが20%以上
- 粉乳が14%以上(内、3.5%以上の乳脂肪)
が含まれていなければなりません。
原材料から分かるように、ホワイト・チョコレートが白いのはカカオパウダーを含まないから。
そのため、チョコ愛好家の中には
と邪道宣言する人もいますが、欧州連合の規定ではまぎれもなくチョコレートです。
イチゴ風味のピンク色のチョコや、抹茶風味の緑のチョコは、ホワイト・チョコレートが基本になっています。
まとめ:おいしいチョコの色は?
以上のように、色の違いは原材料の違い。個人の好みによって、おいしく感じるチョコの色も変わってきます。
簡単にまとめると、好みと色の相関関係は、次のようになります。
- カカオの純粋な香りを楽しみたい人 → こげ茶のミルクが入っていないチョコレート
- まろやかな風味が好きな人 → 茶色のミルク・チョコレート。
- クリーミーな甘さを求める人 → 白いホワイト・チョコレート。
チョコレートの価値は、カカオ含有率を示す色でなく、原材料のクオリティと製法によって決まります。
同じような色のチョコレートでも、カカオや砂糖などの原材料の質や製法で味が大きく変わってくることも覚えておきましょう。
さあ、今度食べるチョコレートは、何色にしましょうか?
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