生きること

バブル兄さんと寿司と婚活

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doomoak / Pixabay (CC0)

世界に誇る日本文化。お寿司はその輝かしい文化の代表選手。

なんて理由をつけて帰国のたびに美味しいお寿司を食べていますが、昨日そのお寿司を食べていて思い出したのが、遙か昔にバブル世代の代表選手みたいな人にされた珍妙なお説教の話し。今どきのことばでいうなら「婚活のすすめ」をされたお話しです。

お寿司と緑茶の中で甦ったバブル兄さんの思い出を書きとめながら、『失われた時を求めて』みようと思います。

暗黒のナインティーズ

時は世紀末、1990年代。バブル経済が華麗に崩壊しつつも、まだまだ六本木や芝浦なんかでバブルな兄さんや姉さんが踊っていた暗黒の時代。当時流行った音楽を聴けば、のけ反るくらい本当にコッテリした時代でした。

MC Hammer の『 U can’t touch this 』(1990)とか( You じゃなくて U !)、

Spice Girls の 『 Wannabe 』(1996)とか、ね。

そんな暗黒時代を象徴するように、テラテラした黒シャツとか、極太の金のブレスレットとか、不自然なまでに赤茶けた肌とか、まともに見たら目がつぶれるような出で立ちのバブル兄さんたちが集まっていたのが、当時の私が所属していたサークルでした。これ、黒歴史っていうんでしょうねぇ、確実に……

小娘に熱弁をふるうバブル兄さん

そんなダークフォースの台風の目のようなところにいた私ですが、当時はバブル兄さんたちにも可愛がられていました。

「会合」に出る度に、兄さんたちの不思議なアレゴリーてんこ盛り講釈を聞いていました。「よく意味がわからないんですけど」と答えていた自分がホントにバカなんじゃないかと当時は不安でしたが、だいぶ後になって「そう思っていた自分が不安を覚えるべきバカだった」ことに気づきました。

かっぱ巻きの予言

Meditations / Pixabay (CC0)

昨日お寿司を食べて思い出したのは、すっかり忘れていたような当時のこんな発泡性談義の1つ。私の未来が「かっぱ巻き」と予言されたお話しです。

当時結婚に続くような前向きの恋愛をアグレッシブに求めていなかった私に向かって、兄さんたちはギリシアの哲人さながらにお寿司の逸話で諭してくれました。

「あのさぁ、かわいいと思って男を待ちすぎるのは良くないよ~。オマエはさぁ、せっかく開店したての寿司屋に来たのにさぁ、なんでネタを決めちゃわないのかって話なんだよ~。中トロが目の前にあるのに、大トロ待ってるんだろう~。だけどさぁ、大トロ来ないなぁって待ってるうちに、だんだんネタが落ちてきただろう~。タイやホタテはあるけどさぁ、それだってどんどん人に皿とられてさぁ~(←寿司屋が回転する寿司屋だったことにココで気づく)、もうすぐサバやイカになっちゃうんだよ~。で、気づいたらかっぱ巻きしか回ってませんでした、っていうタイプだよなぁ」。

発泡性トークの教訓は「身の丈に合った男のもとに嫁に行け、若いうちが最高のマーケット、それがオマエの幸せだョ」らしいことは分かったものの、なんで好きでもない大トロを待たなくちゃいけないのか、なんで回転ずしに行かなくちゃいけないのか、かっぱ巻きのどこが悪いのかも分からず、「やっぱり人生分かってないのか、私?」と不安になりました。

バブル兄さんの左手首に光るタグホイヤーのギラギラを眺めながら、だれかが歌うアンルイスが聞こえていたのが、まるで地獄絵図のように記憶に残っています……

かっぱ巻きの罪深さ

バブル兄さんは別に悪気もなく、自分の信念の旗を高く掲げながら「カワイイ」後輩の幸せを祈っていたのかもしれません。でも、私にはとても解せない「?」だけが長いこと残りました。

その後分かったことは、バブル兄さんと同じような考えのかっぱ巻き信者や伝道師は21世紀になった今でもたくさん布教活動をしているということ。そして、夢いっぱいの未来や純真な若さを持つ女性が、かっぱ巻きの恐怖に怯えて婚活教に改宗したり、自らの未来を狭めたりしてしまう可能性があるということ。

かっぱ巻きの話しは単純に「セクハラ」と呼べるのかもしれないけど、ジェンダーに関係なく根本的な「人」としての深い部分を認められていない悲しい発言だと思うのです。素晴らしい未来や希望を抱きながらも、かっぱ巻きの狂言や妄言で不安をあおられている女性を見ると、やるせない思いでいっぱいになります。

当たり前だけど、人生はそんなにコンパクトじゃない

バブル兄さんの予言通り、そのうち回転ベルトの上にはかっぱ巻きしか出てこなくなったり、かっぱ巻きしか見えなくなってきたりすることもあるかもしれません。

でも、人生って回転寿司に座っているようなものじゃありません。もっともっと豊かなものです。いやだったらそんなところさっさと出て、カウンターで握ってもらえる寿司屋に行ったっていいんです。中華だっていいし、フレンチだっていい。自分で狩ったり釣ったりして食べたっていい。自分の美味しいと思うところで、自分の美味しいと思うものを選択する。

結婚は素晴らしい経験だけれど、強要されるものではありません。「婚活」のような言葉でくくってしまえるほど人生はコンパクトではないと思うのです。

カウンターでずっと本を読んでいたら閉店間際に大トロじゃなくてフォアグラが出てくるような、そんな奇想天外な楽しさも人生の宝。かっぱ巻きの被害にあっている人には、そんな人生の豊かさを知ってほしいと願うばかりです。

枠にとらわれないオモシロサは、そこここに。

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