文化 料理

ノルチャの黒トリュフ

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2016年の8月以来、地震が続いているイタリア中部。震災の悲劇がクローズアップされる中、被災したイタリアの町々本来の素晴らしい姿にスポットを当て、エールを送りたいと思います。今回は、10月の地震震源地近くの町ノルチャの食文化、 Tartufo nero di Norcia (ノルチャの黒トリュフ)をご紹介します。

トリュフの産地イタリア

イタリアはフランスとともにトリュフの名産地。大きく分けて、白トリュフと黒トリュフがあります。びっくりするような値段で有名なのは白トリュフですが、どちらも世界のグルメ垂涎の高級食材です。

白トリュフ

呼び方:Tartufo bianco (タルトゥーフォ・ビアンコ)、Tartufo d’Alba (タルトゥーフォ・ダルバ)、Tartufo piemontese (タルトゥーフォ・ピエモンテ―ゼ)など。

味:鼻を刺すような強い芳香。

調理:香りが失われるので、水洗いや加熱は厳禁。生で食す。バターとの相性が抜群。

黒トリュフ

呼び方:Tartufo nero (タルトゥーフォ・ネーロ)、Tartufo di Norcia (タルトゥーフォ・ディ・ノルチャ)など。

味:まろやかな芳香。

調理:少量の水で洗える。低温でさっと加熱することで香りを最大限に引き出せる。オリーブオイルとの相性が良い。

黒トリュフと言えばノルチャ!

フランスの古典グルメ本『美味礼賛(1852)』で Brillat-Savarin がトリュフを「台所のダイヤモンド」と称しているように、ノルチャの黒トリュフは「黒いダイヤ」とも呼ばれています。

ペリゴール産のトリュフがフランスで有名なように、イタリアで最高の黒トリュフはノルチャ産とされ、ノルチャは黒トリュフの代名詞となっています。

ノルチャ産の黒トリュフは、星付きレストランや高級食材店などでお目にかかることができます。しかし、輸送や保存の難しさから、丸ごとの生のトリュフは中々手に入らないレア食材。その中でも、大きく丸みのあるトリュフはとても稀で、市場に出回っているのは小ぶり~中くらいのものが大半を占めています。

ノルチャの黒トリュフは色々

ノルチャの黒トリュフと呼ばれるものには、実はいくつかの厳密な種類があり、種類によって価値も変わってきます。ノルチャの黒トリュフを市場価値の高いものから順に並べてご紹介します。

Tartufo nero pregiato di Norcia

学名: Tuber Melanosporum Vittadini

表面はデコボコした黒っぽい茶色。切ると紫がかった黒色。12月から採れる。これが名声を博す、いわゆる「ノルチャの黒トリュフ」。

Tartufo nero invernale di Norcia

学名: Tuber Brumale Vittadini

表面はデコボコした黒っぽい茶色。切ると紫がかった黒色の断面に美しい白い極細の筋模様が入っている。1~3月に採れる。上記のトリュフととても似ているが、価格はほんの少しだけ安め。

Tartufo estivo di Norcia、別名 Scorzone

学名: Tuber Aestivum Vittadini

イボイボ、ゴツゴツした茶色の表面。5~8月に採れる。冬に採れる上記2種類のトリュフにくらべると、約1/4の値段で買える手ごろなトリュフ。

Scorzone invernale

学名: Tuber Uncinatum

イボイボ、ゴツゴツした茶色の表面。10~1月に採れる。こちらも最初の2種にくらべると値段はかなり低い。

黒トリュフも、やっぱりブタが探すのか?

黒トリュフは多孔質で水はけのいい石灰質の土壌に育ち、丘陵地帯や山で見つけることができます。

黒トリュフは土に埋まって生えているので、動物の嗅覚を借りて探すのが一般的。昔は子豚を使うこともありましたが、見つかっても豚に食べてられてしまうことが多かったそう。現代のイタリアでは、ブタではなく調教した犬(主に小型犬)の鼻を利用します。子豚を使ったトリュフ狩りは、環境保護のためイタリアの法律で禁止されています。

ちなみに、イノシシを使ったトリュフ狩りは完全な都市伝説です!

黒トリュフは健康にいい媚薬?

黒トリュフは体にいい高級健康食品。アンチエイジングで名高い抗酸化作用があるほか、体内でコラーゲンの生成を助けたり、消化を助けたりする作用があると言われています。

また、トリュフの「媚薬効果」は科学的には認められていません。こちらも都市伝説ですが、遙か昔からまことしやかに伝えられています。ギリシアの哲人プルタルコスはトリュフが水と熱と雷から生まれると言い、それを基に、ゼウスの雷がオークの木のそばに落ちるとトリュフができるという言い伝えがありました。つまり、恋多きゼウスと恋の妙薬トリュフが結び付けられていたというわけです。

黒いダイヤを調理する

白トリュフと同じく、黒トリュフも独特の芳香を楽しむために、基本的にデリケートな味の食材と合わせるのがいいとされています。

黒トリュフは、白トリュフには禁忌とされる加熱も可能なので、生でクロスティーニやブルスケッタに載たり、加熱してパスタやリゾットやフィレステーキなどに香りづけしたりします。中には、ニンニクやアンチョビと合わせるようなレシピもあり、まさに万能選手。

とりわけ抜群なのは卵との相性で、ポーチドエッグ、目玉焼き、卵を練り込んだパスタ tagliatelle (タリアテッレ)などに、細く刻んだ生のトリュフで香りをつけると最高です。

フレッシュなトリュフは1週間ほど保存できます。トリュフが呼吸できるようガーゼにくるんでからガラスの容器に入れ、しっかりと蓋をして涼しい所(冷蔵庫では冷え過ぎ)で保存します。

トリュフ製品を買う時の注意

イタリアでは、たくさんの黒トリュフ加工食品が販売されています。

トリュフで風味をつけたグラッパやアマーロなどの食後酒のほか、トリュフ入り岩塩やトリュフ風味のオリーブオイルは特に人気があり、種類もピンからキリまで。

天然トリュフは加工が難しく、人口香料を使ったものが多く出回っているので購入には注意が必要です。天然トリュフを使用したものは「 aroma naturale 」と表示があり、「 aroma 」だけの表示のものは合成香料を使用しています。

 

ノルチャの町が育んできた素晴らしい黒トリュフの文化。皆さんも、ぜひ豊かな芳香を味わってくださいね!

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